夢子は何故その場にいるか謎のアルフレに助けを求めた。
もう、普段の行いなどどうでもよかった。
今はこの人にしか助けてもらえない。
気持ちを殺して懇願する。



【大切な物ならばいつだって守らないと駄目だよ。3】







アルフレ「君、探し物してたでしょ?そのあと気になって着けてきたんだよね。
     変な場所に探しに行かないか心配で。」
夢子「お願い…此処から逃がさせて‥‥私あんな気持ちの悪いおじさんと居たくない…」
アルフレ「あれ?僕の事嫌いじゃなかったっけ?」
夢子「そ、それは…」
アルフレ「ふーん都合良いね?君結構尻軽女?」
夢子「お願い…」
アルフレ「まあ今弱ってるみたいだし虐め涯なさそだし…あとのおたのしみってことにしとく?」
夢子「ぅぅ…」
アルフレ「嬉しくて泣いちゃった?アハハ、僕って罪な男だね?まあいいや、今回は君の事助けてあげるよ。」
夢子「ほんと?」
アルフレ「条件があるけど。」
夢子「・・・。」
アルフレ「あーまた真っ青になちゃった。んーまあいいや。じゃあ今日は無償で助けてあげるよ。
      さ、腕、出して。その結束バンド外してあげる。」
アルフレはカミソリを懐から出した。

夢子「貴方…カミソリなんて普段から持ち歩いてるの?」
アルフレ「まあね、僕軽くメンヘラだから。」

ギリギリと結束バンドが切られていく。
30秒ほどで両腕が解放された。


夢子「はあ、やっぱり腕が動かないとなると致命的よね。
        自由が利くって素晴らしいことだわ。」
アルフレ「あとは脱出するだけだね。」
夢子「っていうか貴方…窓から入ってきたけどこの部屋20階だよ?!
       何所から登ってきたの!?」
アルフレ「ふふ、魔法使ったんだよ。」
夢子「…どうせアイテムでしょ。この世界でスマブラの武器使うのって禁句なはずよ?」
アルフレ「僕は特別だから。」
夢子「はあ…そういう事にしておくわ。」
アルフレ「今日は穏やかだね?いつもならもっと突き外すのに?」
夢子「一応…助けてくれたから。」
アルフレ「あの親分がこの部屋に永久に帰ってこないのならば
     君を拘束された姿のまま僕が色んなプレイ楽しむんだけどねー?」
夢子「なっ!?///」
アルフレ「フフ、冗談だよ、ジョーダン。」
夢子「冗談に聞こえない。」



顔を真っ赤にする夢子を横に部屋を見渡すアルフレ。

アルフレ「…あった、ダクト。ここから外出れるよ。複雑に入り組んでるけど。」
夢子「解った、ここに入ればいいのね?」
アルフレ「君が先に入って?」
夢子「…嫌。」
アルフレ「何で拒む必要あるんだい?早く家に帰りたいんでしょ?」


夢子「貴方‥‥後ろから来て私の制服のスカートの中覗こうと思ってるでしょ?」

アルフレ「ん?何で知ってるの?」
夢子「…こういう場合は貴方が先に行くべきでしょ。先導しなさいよ。」
アルフレ「あー残念。後ろから悪戯しまくろうと思ったのに。」
夢子「そういうの心の声で呟いてくれない?貴方絶対モテないでしょ?」
アルフレ「君以外の女なんて興味ないから。それに僕モテるよ?知らないの?」
夢子「知らないし興味ない。」
アルフレ「とことん冷たいねー?」


夢子とアルフレはダクトの中を伝ってビルの最下部目指して進む。
ダクトの中を先導して進むアルフレは何故か進むべき道を知っているかのように迷わず進んでいく。
夢子はそれについていく。
道中アルフレの戯言を聞かなければいけないのが面倒くさい。


アルフレ「もう外は真っ暗だね。ルフレは君が帰ってこなくて心配で物凄い表情になっているだろね?」
夢子「・・・・。」
アルフレ「それで僕と一緒に居るとなったら、ククク。」
夢子「何もないってルフレならわかってくれるから。」
アルフレ「それって友情?愛情?」
夢子「両方。」
アルフレ「贅沢だねー。」
夢子「貴方、ルフレの分身ならもう少し情があってもいいと思うけど?」
アルフレ「情ならあるでしょ。今助けてあげたじゃん。」


二人はダクトの最終口へと辿り着いた。
アルフレはさっと身軽に降りていく。
続いて降りようとする夢子に手を差し伸べるアルフレだったが夢子はその手を拒む。

アルフレ「つれないなぁ。」

夢子は外に脱出することに成功した。
こんなにも空気が美味しい事なんてあるだろうか。
夢子はほっとする。
早く追手が来る前にこのビルから離れないと。
夢子はアルフレを見上げ一応お礼を言う。

夢子「‥‥助けてくれてありがとう。」

アルフレは耳を傾ける。

アルフレ「もう少し大きな声で言わないと聞こえないなぁ?」


夢子「助けてくれてありがとう!(怒)」


アルフレ「・・・ふふ。これで僕にひとつ仮が出来たね?」
夢子「また仮の話?もういい…。」
アルフレ「本当にもういいの?」

アルフレは夢子に見せびらかすように何かを取り出した。
それは

クロネコが盗んだはずの猫のキーホルダーだった。


夢子は目を丸くする。

夢子「私のキーホルダー!!」

そしてアルフレから取り返そうとする。
しかしアルフレは自身の身長をいかして夢子の手が届かない位置に腕をあげる。


夢子「返して!」
アルフレ「猫から取り返すの大変だったよ?妬けに威嚇しちゃってさ。」
夢子(あのクロネコは我が子代わりにしようと思ったのかな…。可哀そうな事したかも。
        でも、これは大切なものだし…)

アルフレは意地悪そうな顔をする。

アルフレ「コレ、返してほしい?」
夢子「当たり前でしょ。」
アルフレ「じゃあ君も恩返ししてよ。」
夢子「はぁ?!何を…」




チュッ・・・



アルフレは文句を言う夢子の口を自身の口で塞いだ。

夢子は拍子抜けした。

夢子「…!?///」

夢子から放れるアルフレ。
その顔はとても満足そうにしている。

アルフレ「フフ、ごちそーさま。ルフレによろしくね。」

アルフレはそう言い捨てると夢子に向かってキーホルダーを投げて暗闇の街中へと去って行ってしまった。

夢子「‥‥うう…今日は何て最悪な日なの…。」


その後家に帰宅した夢子は心配して待っていた剣士男子たちに囲まれ事情を話し、
ルフレがアルフレに対して殺気を帯びたことは間違いなかったが、
一応夢子を救ってくれたことには感謝したらしい。
次の日、学校では何事も無かったかのようなアルフレの姿があった。
夢子は声を掛けようか迷ったが、やっぱり黙っていた。





この不気味な笑みを浮かべる男は何を考えているか分からないのだからー・・・・・





【大切な物ならばいつだって守らないと駄目だよ。】【完】





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