【どれだけ千切れば君の羽は消えるの?】







次の授業は作文の発表会。
クラスメイトたちは各自ざわついている。
今回の作品の中で優秀なものは審査を通して資料に載るらしい。
短い休み時間の中、夢子達もその作文についての話題で持ち切りだった。



沙羅「‥で、皆作文ちゃんと書いてきたのよね?」
夢子「うん!バッチリだよ!」
沙羅「夢子は昔から作文得意よね。いつも優秀賞貰ってる気がする。」
夢子「偶然だよ。今回は他のメンバーもいるし…」
ピット「僕たっくさーん書いてきたよ!」
マルス「ピットくんの作文15枚はえぐいと思う…」
アイク「内容は薄いけどな。」
ピット「ムム!今なんていった!?」
シュルク「枚数が多ければ良いってもんじゃないですからね。」
ピット「あー!シュルクまで僕の事馬鹿にしてるー!」
リンク「お陰で家中が失敗作の作文塗れで大変でしたよね。」
ルフレ「僕落ちてる作文踏んづけて滑って転びそうになったよ?」
夢子「…こんな感じよ沙羅。」
沙羅「騒がしいのはよくわかったわ。」
夢子「でもね、今回の作文、今までの中でも力作なの!
      私の気持ち、ちゃんと表せたと思うんだ。」
ルフレ「その作文の内容って勿論僕の事でしょ?」
リンク「いいえ、俺の事です。」
シュルク「いや…恋文とは違うでしょ…。」
夢子「兎に角次の授業は緊張するの間違え無しだね…だって皆の前で発表だもの。」
ピット「えええ!そうなの!?僕噛まないで読めるかなぁ。」
マルス「おばかだなー。自分で墓穴掘ったね、ピットくん。」
ピット「ああ、手汗掻いてきたかも…どうしよ…。」
夢子「私も緊張してきちゃった。…この作文、大丈夫かなぁ。」

夢子が作文を上に掲げた瞬間。
その作文の紙が誰かにスッととられた。



アルフレ「へぇ…日本ってこういう授業あるんだね。」



夢子「アルフレ…!?」


アルフレは夢子を見て笑っている。
最も普段からニヤニヤしているから笑ってるのかは良くわからない。

夢子「ちょっと、返して!?」

夢子は怒る。他のメンバーたちも警戒する。
そんな夢子達を見て笑うアルフレ。


次の瞬間





ビリビリビリ・・・!!!


夢子の目の前で千切れた白いモノが舞う。



アルフレ「フフフ。」



アルフレは楽しそうに笑っている。




夢子の作文はアルフレによって破られたのだ。




夢子「…酷い…!なんてことを…!」


夢子の表情が歪む。
アルフレは凄く嬉しそうな顔をしてる。
その顔を見たルフレが思い切りアルフレを殴る。




ドカッ!!



ガシャン!!!


アルフレは後ろに会った机に倒れた。
クラスメイトの悲鳴が響く。

アルフレがニヤニヤする反面、ルフレは真顔で一切笑わない。



アルフレ「…痛いなぁ。また殴ったね…?」
ルフレ「お前の作文、出せよ。」
アルフレ「僕が素直に課題やってくると思う?」
ルフレ「人の努力をあざ笑うお前が許せない。」
アルフレ「努力ねぇ。実らない努力だってあるんじゃない?」
ルフレ「…君に何を言っても無駄だね。」


ピット「夢子、大丈夫?」





夢子は地面に舞い落ちた紙を一切れ一切れ集める。


その姿を殴られて倒れてるアルフレは見ている。


アルフレ「努力して積み重ねたものを一気に崩すのって楽しいよ?」


ルフレはアルフレを無視した。
そして夢子に声を掛ける。


ルフレ「夢子、大丈夫?」
夢子「…うん、テープで張り付ければ修復できるから…。」

アルフレ「また何か自信作出来たら僕に見せてね?思い切り崩すから。フフフ。」

アルフレは笑いながら教室から出て行ってしまった。
そして最後に捨てゼリフを吐いた。










アルフレ「今度は君の羽、千切ってあげるよ。
     飛べなくなったら僕が拾ってあげる。」



ルフレはその捨てゼリフを口角の動きで読み取った。


ルフレ「…絶対いつか後悔させてやる…。夢子、僕も直すの手伝うよ。」




休み時間はあっという間に終わる。
作文の発表会が始まっている間、アルフレは結局教室に戻ってこなかった。






【いいね!!】



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