リンク「あ…しまった…。」



リンクのその呟きから夢子の行動は始まった。






【いつも見ている空は澄みきっていた。】








夢子「どうしたのリンク?」

夢子は困った表情のリンクを見る。
彼は今、夢子の家の台所にいる。
いつも通り料理の仕込みをしていたのだが…



リンク「いや…牛乳を買い忘れてしまって。」
夢子「牛乳?今使うの?」
リンク「今日の夕飯シチューにしようと思ってたんですが…あ、そうだ!
    夢子さん、一緒に買いに行きましょう。」
夢子「別にいいけど…。」

リンクは一人心の中でガッツポーズを決める。

リンク(今あのうるさい5人が居ないタイミングで良かったと心の底から思います…神様っているんですね…)

夢子「他のメンバーには置手紙書いておこうかな?」
リンク「そうですね。きっと今頃いつものクレープ食べてはしゃいでるんじゃないですかね。」
夢子「あはは!そうだね!」




リンク「夢子さんと久々に二人きり…(ボソッ)」




夢子「…?リンク何か言った?」
リンク「いいえ、何でもないですよ。」
夢子「そう?…じゃあいこ!」





夢子とリンクは家から出た。
いつもの坂道が長く感じる。



夢子「ふー、流石に夏だし暑いね〜。」
リンク「日本はまだマシなほうらしいですよ。」
夢子「そうなんだ?」
リンク「何処かの外国は日中気温が45度以上になるらしいです。
    TVで見ましたが、アスファルトが溶けてましたよ。」
夢子「えええ…生き地獄じゃない…それって人間が生活できる環境なの!?」
リンク「現地の人も工夫して色々頑張ってるみたいですね。」
夢子「それを考えたら私達って幸せね?」
リンク「‥‥夢子さんと二人きりで買い物デートできてる俺は幸せです。
    あ、もうすぐスーパーですね。店内は涼しいですしゆっくり買い物しましょう。」
夢子「夏のスーパーって天国よね!クーラーがガンガン効いてて…用もないのに立ち寄っちゃう!」
リンク「時間潰せれば家の節電にもなりますからね。」
夢子「そうそう!…お店のスタッフからしてみれば邪魔かな?」
リンク「図太く生きたほうが人生得しますよ。」
夢子「…そんなもんかな?」
リンク「ええ。今の俺みたいに。」
夢子「???」





夢子とリンクは乳製品コーナーへと足を運ばせた。
丁度1本だけ牛乳が置かれている。
夢子は喜んで手を伸ばす。
すると、反対側からも手が伸びる。




夢子「え…?」
沙羅「あ…。」





そこには牛乳に手を伸ばす沙羅と驚いている黒の姿があった。



夢子「沙羅!奇遇ね!」
沙羅「夢子…貴女も牛乳買いにきたの?」
夢子「うん…でも1本しか残ってないね…。」
沙羅「私今から黒さんにシチュー作ろうと思ってるの。」
夢子「ええ!?沙羅も!?私達もだよ?」
黒「‥沙羅、無理しなくていいぞ。俺は何でも食べれるから。」
沙羅「ううん、黒さんと折角約束してたもの…諦めきれない…。」
夢子「沙羅、ここは正々堂々とジャンケンしましょう!買った方が牛乳買うの!それでいいでしょ?」
沙羅「…夢子、貴女ジャンケン昔から弱いじゃない…それでもするの?」
夢子「仕方がないよこんな状況だし。よし…!行くよ沙羅!最初はグー!ジャンケン…」















スーパーからの帰り道。
落ち込む夢子とそれを宥めるリンクが坂道を歩いていた。

夢子「…ごめんね、リンク…私つい強がって…結局負けちゃった…。」


夢子は沙羅とのジャンケンで負けてしまった。
結局牛乳は手に入らなかった。



リンク「仕方がないです。勝負は勝負ですし、今回は俺らがついてなかっただけで。
     シチューは今回無理でしたが、カレールー買えたし今日はカレーライスにしましょう。」
夢子「あ、私リンクの作ったカレー大好き!」
リンク「そうなんですか?」
夢子「うん!隠し味とか入れてるの?」
リンク「そうですね…隠し味とまではいかないでしょうがトマト入れてますよ。」
夢子「そうなんだ!だからさっぱりしてるのね!」
リンク「あとビターチョコレート入れてます。」
夢子「色々工夫してるのね…なんだか主夫だね!」
リンク「ルフレ…あいつ最近料理サボってますからね…俺が作らないと他の奴等みんなダメだし。」
夢子「この間アイクが『腹へった、俺何か作る』って言って目玉焼き作ってたけど…」
リンク「ああ…あれなんで目玉焼きなのに黄身が潰れてて丸焦げになるのか問い詰めたいですね…。」
夢子「料理ってセンスないと難しいのよね。…リンクってセンスあるんだね!いいなー。」
リンク「俺ってセンスあるんですか?」
夢子「無自覚なの?そういう人ほどセンスあるもんだよ!?」
リンク「夢子さんから褒められて‥嬉しいです。」
夢子「きっと良い夫になれるよ!家事出来る男の人って素敵じゃない?」




夢子の言葉を聞いてリンクが立ち止まる。


リンク「そんなに褒められたら…」
夢子「どうしたのリンク。」


リンクが夢子の目の前に立ち、大木に夢子を追い詰める。
そして壁ドンならぬ樹木ドンをした。


夢子「リンク!?」


リンク「もう、ずっと堪えてたんです。何もかも諦めて…
    でも今なら貴女に触れて良い気がする。…違いますか?」

夢子「ちょ…こんな外で‥‥」

リンクはニッコリ笑うと夢子の頬にキスをした。


夢子「!!!///」


リンク「トマトみたいに真っ赤な貴女がカワイイです。
    …今日のカレーの隠し味、ですね。」





リンクは少し意地悪な笑みを浮かべた。






リンク「今日も明日も明後日も、貴女とずっと同じ空の下に居たいです。」




【いいね!!】



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