夢子「うー…届かない…。」


夢子はひとり学校の図書館にいた。








【親切な罠、君は好き?】








夢子「もー!なんで私が読みたい本っていつも高い場所にあるのかなぁ…?」


そう、夢子は今読みたい本が丁度手の届かない場所にあってそれと格闘している。


夢子「そうだ、反対側に脚立があったはず…。」

夢子は近くにあった脚立を持ってきた。
足場の確認してよじ登る。


夢子「よし、これで届いた!…あとは読みたかったあの本を…って、あれ?」

夢子は視界に入ってきた本のタイトルを見て驚く。
それはずっと読みたかったタイトルの本の続編だった。

夢子「ええ!?嘘!!これ超読みたかったやつだー!」

夢子は興奮して目を輝かせる。
そして手を伸ばす。


しかし
彼女は忘れていた。




自分が今足場の不安定な脚立の上にいることー・・・




夢子は思わず大好きな本へと手を伸ばす。
身体を思いきり伸ばして。

そして、夢子はついにバランスを崩してしまう。



夢子「…しまった!!落ちる…!」


夢子の身体は本と一緒に崩れ落ちてしまった。

ドサドサと本が地面に落ちる音が聞こえる。
咄嗟に目を瞑っていた夢子だったが、衝撃を感じない。

薄っすら目を開くとそこには…




夢子「ル…フレ…?」



そこには、優しい笑みで夢子を受け止める人物がいた。


夢子「…違う…。」


夢子は目を擦って再び瞼を開けた。

そこにいたのはルフレではなかった。









優しい笑みを浮かべているだけのアルフレだった。




夢子「‥!!」
夢子は直ぐに睨みつける。

アルフレ「ダメだよ、あんな危ない本の捕り方しちゃ。‥ケガするよ?」
夢子「なんで助けてくれたの…?」
アルフレ「僕も本好きだから。この間読んだ本にも意中の相手には優しく接しなさいって書いてたし。」
夢子「そんなの本なんて読まなくても誰でも分かる常識よ…?」
アルフレ「そうなの?僕は知らなかったよ?」
夢子「…いい加減放してくれる?」


夢子が藻掻こうとするがアルフレの腕に力が入る。


アルフレ「折角君を捕まえたんだ。…簡単に放すと思う?」

夢子「・・・!!!」
アルフレ「そんな怖い顔しないでよ。僕だってやっと作り笑顔覚えたんだ。ほら、こうして笑えばルフレみたいだろ?」
夢子「貴方はいつもみたいにニヤニヤしてる方がお似合いよ。
     どんなに作ったってルフレには勝てないんだから…!」
アルフレ「…うーん。そうだね。君の言う通りかも。
     僕はルフレには勝てない。」
夢子「分かってるんだったらさっさと放し…」



アルフレ「でも、奪う事なら得意だから。
     君の事、どんな手を使っても手に入れたい。
     従順に、従わせて、鳴かせたい。」



アルフレはいつもの笑みを浮かべる。
そして夢子を床に寝かしたと同時に馬乗りになる。


夢子「ちょ…!!///」


アルフレ「今、僕が君にしようとしている事、わかる?」


夢子「ちょ…ここは図書館よ!?」
アルフレ「じゃあ、図書館じゃなければ良い?」
夢子「やめて…!そういう問題じゃない…!」
アルフレ「君の嫌がる顔見れただけで僕は今日一日幸せだ。」
夢子「バカなの!?」
アルフレ「うん。僕はバカだよ。救いようのないバカさ。
     そんなバカからのプレゼントを君にあげる。」



アルフレは夢子の首筋にキスをした。
夢子は悲鳴をあげてアルフレの頬を叩いた。

夢子の首筋にアルフレのつけたキスマークが浮かび上がる。

夢子「嫌!…なんでこんな醜いモノつけるの!?」

アルフレ「君が今日一日その痕を全生徒に見られて恥ずかしい思いをして過ごすの、
     遠くから見つめているから。フフフ。」
夢子「貴方…やっぱり頭可笑しいわ…!うう…こんなもの…」
アルフレ「楽しいね?‥‥本を読むのも楽しいけど、やっぱり君を弄るのはもっと楽しい。
     …ああ、このまま君ともっと楽しい事したい気分だけど、
     流石にここでヤったら邪魔が入るし‥我慢するね。」
     じゃあ、今日一日楽しもうね、夢子。」



アルフレは夢子の上から退く。
そして本を何冊か拾って去って行った。


夢子「嫌だ…なんでこんなものを私に…」

夢子は起き上がり辺りを見回した。
そして気づく。




夢子が読みたかった本全てがアルフレによって持ち去られたことー・・・




夢子「もしかして…アイツ…私が好きな本を知っていて…!?」




夢子は一人青ざめた。



そう、





全てアルフレの仕組んだ罠だった
ということを。




【いいね!!】



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