昼食タイムが終わり、学校は掃除時間になっていた。
夢子は沙羅と一緒にトイレ掃除をしていた。
洗剤を撒きデッキブラシで擦る。









【嫉妬じゃなくて執着?…へぇ、そう。勉強になったよ。】





夢子「なんか学校前居た時より綺麗になってない?」
沙羅「そうね、私もそれ感じた。なんか少しだけ改装工事したらしいわよ。」
夢子「そうなの!?」
沙羅「前の校舎結構古かったからっていうのもあるらしいけど、もう一つ大きな理由あるんだって。」
夢子「え!?なになに!?」
沙羅「貴女が聞いたら気分悪くなるかもしれないけど‥?聞く?」


こんな風に言われると聞きたくなるのが人間の性。
夢子は目を大きく開けて沙羅を見る。

沙羅「…わかったわよ。教えてあげる。それはね、ズバリ‥‥お金の権力よ。」
夢子はまだあんまりハッとしていなかった。
それどころか余計分からなくなる。


夢子「お金の権力って…そりゃ校舎の改装工事だし…お金はかかるのはわかるわよ?」
沙羅「問題はそのお金の出どころよ。」
夢子「国からの提供?」
沙羅「こんなご時世よ、お金にピーピーしてるのに国がこんな学園ひとつの為に出すわけないじゃない。」
夢子「じゃあ一体…」





アルフレ「その話、僕も混ざって良い?」



夢子と沙羅が振り返るとそこにゴム手袋をしたアルフレが立っていた。

夢子「アルフレ…!」
沙羅「ああ、貴方は男子トイレの清掃係だったわね。…っていうか…
   ここ女子トイレよ!?何平然と居るのよ!?」
アルフレ「トイレなんて男も女も一緒だろ?」
沙羅「今すぐ出て行きなさい。」
アルフレ「話に混ぜてくれるなら出ていくよ。」
夢子「どんだけ神経図太いの…。」


3人は一度トイレから退出した。

アルフレはゴム手袋を外して手を洗う。

アルフレ「君たちが面白そうな話してるからさ、つい…ね?」
夢子「この話そんなに面白いの?」
アルフレ「うん、とっても。だって僕の話でもあるから。」
夢子「え…?どういう事?」
沙羅「お金の権力の出どころ、それはコイツでもあるから。」


夢子「ええ!?アルフレが出したの?!」

アルフレはニヤニヤ笑っている。
沙羅は賺さず付け加える。

沙羅「アルフレというか、ベレト先生が出したというか…二人が相当お金の権力握ってるって噂よ。
   そうだ、この際ハッキリさせなさいよ?」
アルフレ「うーんまあね。マスターに日本円に換金しなさいってあっちの世界から金塊貰ってきたから。
     この国でどれ程の価値があるか知らなかったけど、結構額あったみたいだね。」
夢子「じゃあこの校舎が改装されたのはアルフレと先生のおかげ…!?」
アルフレ「そうだよ。さ、僕の事褒めて?」
夢子「…お礼は先生に言うわ。どうせアンタならお金を碌な使い方しないでしょ。」
アルフレ「うん。君と使う大事な道具沢山買ってあるからね。今後の楽しみ。…ああ、ナイショがよかったかい?」
夢子「キモすぎるからもう消えて?」
アルフレ「あ、そうだ、君に渡したいプレゼントあるんだよね。勿論受け取ってくれるよね?」
夢子「要らない。」
アルフレ「そっか、嬉しいのか、わかったよ。すぐ渡せるから取りに行くね。」




アルフレは笑いながら男子トイレに消えていった。



夢子「あいつ…絶対何か仕出かす…」
沙羅「日本に来てからも全然ブレないわよね、アルフレって。
   と、いうか悪い意味で以前より積極的っていうか…。
   あ、戻ってきたわよ。」



アルフレはニコニコしながら大きなバケツを持って戻ってきた。
そして、次の瞬間。



バシャアアアアアアアン!!!




アルフレは夢子にバケツに入った水を思い切り頭からかけた。




夢子は一瞬の出来事に脳が正常に動かなかった。



沙羅「ちょ…アンタ!!」
アルフレ「ん?君もかけて欲しかった?…ゴメンね、生憎僕は夢子しか興味ないから。」

ビチョビチョに濡れた夢子の制服からは下着が透けて見える。
アルフレは喜んで興奮している。

夢子「アルフレ…あなた…一体どういう…」
アルフレ「こういうの堪らないよね…僕女の子濡らすの好きなんだ。ま、女の子っていっても夢子だけ限定だけど。」
沙羅「…変態ね。」
アルフレ「男はみんな変態だよ?きっとルフレだって今の君見たら興奮するよ?」
沙羅「アンタなんでこんなに夢子に執着するの?女の子なら他にも幾らでもいるでしょ?」
アルフレ「…僕が人生で初めて好きになった女の子が夢子だからだよ?それの何処が悪いの?」
沙羅「度が過ぎてるのよ、アンタの行動。」
アルフレ「ルフレだったら‥‥どうするかなって僕も考えた事あるよ。
     でも僕と対になる存在だから辿り着くものは同じだと思うけどな。」
夢子「貴方なんかキライ!」
アルフレ「うん、それでいいよ。僕は好かれたくないから。僕の愛、一方的に注ぐのが好きなだけさ。」


アルフレは空になったバケツを蹴り飛ばして去って行った。


沙羅「マスターの人選ミスは明らかね。今からでも苦情言って良いんじゃない?」
夢子「ほんと…改心したとか聞いたけどそうゆう風には全然見えないわ…くしゅん!」
沙羅「清掃時間終わったしとりあえずジャージかなんかに着替えましょう、風邪引くし。」



夢子と沙羅もトイレから立ち去った。


途中廊下ですれ違ったルフレがアルフレの行動を知りとてつもない殺気を帯びたのは言うまでもない。




【いいね!!】


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