ピット「ねえ、おまるす置いてけぼりにするのは別に良いんだけど、
    プリント印刷するの知らんぷりしてきていいの?」




【帰る場所はここだよって、気づかせてくれる君が好きだ。2】




ルフレ「そんなことしてる時間がもったいないから。
    僕は1分1秒でも夢子を見つめていたいんだ。
ピット「うーん気持ちはわからなくもないけど…」
シュルク「後がものすごく怖そうですけど…本当に良かったんですかね。」
リンク「たまにはいいでしょう。」
アイク「全員アイツ(マルス)に対して冷たいな…。」
ルフレ「雑草みたいな人間だから少し踏まれたくらいでは死にはしないよ。」
アイク「…それもそうか。」




5人は下校通りにあるケーキ屋さんの前を通った。
思わずピットが叫ぶ。

ピット「あ、そうだ!ねえねえ、夢子にケーキ買って行こうよ!きっと超喜ぶよ!」
アイク「お前自分が食べたいだけじゃないか?」
ピット「てへ★まあそれもあるかな。」
リンク「たまにはお土産もいいでしょうね。」
シュルク「念のため聞きますが皆さん財布はちゃんと持ってますか?」



シュルク以外の4人「「「・・・・・。」」」」


シュルク「…ちょ、財布持たないでそんな発言してたんですか。」
ピット「だって突然サプライズ閃いたんだもん!」
シュルク「って事は今お金持ってるの僕だけですか。」
ルフレ「シュルク…ゴメン、今だけ少し貸して?」
シュルク「はぁ…貴方達の為ではなく夢子さんの為ですからね。いいですよ、今回だけ。
     仮は大きく返してもらいますからね。」
アイク「すまん・・・。」
リンク「じゃあどれにします?」

ショーケースにはカラフルで美味しそうなケーキが並ぶ。










夢子はというとお風呂に入っていた。
今日は学校で体育の授業があったので汗が気になっていた。
冷たいシャワーが気持ちいい。



夢子「こうやってひとりでのんびりもたまにはいいなぁ。」


頭をシャンプーで泡立てる。
泡がプカプカと浮いてゆく。


夢子「体育の授業、前に日本に居た時より俊敏に動けるようになったなぁ。


シャンプーの泡を落とす。


夢子「やっぱりモンスターとかと戦ったりしたせいかな?」


夢子は入浴剤で白く濁った湯舟に浸かる。
水面が揺らぐ。

夢子「ふー、やっぱり日本って恵まれてるんだなぁ。
      でもあっちの世界はあっちの世界で面白かったなー。
      Wi-Fiの力でまた遊びに行けたらいいな。
      そうだ、今度先生に聞いてみようかな。
      先生は何度もマスターのいるあっちの世界と交信してるっぽいし。」
リンク「あの人と二人きりになるのは危険ですよ。」
夢子「ちょっと変わった先生だけど、悪い人じゃないと思うし…



      って、え?!今の声は…?!」




リンク「夢子さん、髪にまだ泡ついてますよ。」




風呂場の小さな窓の隙間からリンクが微笑んで夢子のほうを覗いていた。

そして取り巻きのつぶやきも聞こえてくる。

ピット「もー!リンクばっかり!」
アイク「…なんか前にもこういう事あったよな。」
シュルク「恥ずかしいからやめましょうよ!変質者になりますよ僕ら!」
ルフレ「リンク、よりによってなんで君が一番上に…僕の夢子なんだから早くどいて!」





夢子「ぎゃあああああああああ変態いいいいいいいいいいいいい!!!」



夢子はおもいきりタライをリンクの顔面に投げた。









夢子「・・・・。」




お風呂からあがった夢子はガチで怒っている。
涙目で剣士組から顔をそらす。

ルフレ「ごめん、夢子。やっぱり見られるのは僕だけがいいよね。」
夢子「そういう問題じゃない…。てか貴方達反省してないでしょ?」
ピット「僕はみてないからね、何にも!羽無いし!」
アイク「羽合ったら飛んで覗くのか?」
ピット「僕は皆と違ってスケベじゃないから!」
リンク「まあ俺と夢子さんの仲だから。」
アイク「問題発言多すぎだろ・・。」




夢子「…次お風呂覗いたら絶交するからね?」




夢子は本当に怒っていた。
ルフレが咄嗟にサプライズを思い出す。



ルフレ「夢子!お詫びと言っちゃなんだけど…これ、君の為に買ってきたんだ。
    …受け取ってくれないかい?」


ルフレは箱を夢子に手渡す。


夢子「…もしこれもびっくり箱とかだったら許さないからね?」
ルフレ「心配しないで。開けて見て?」


夢子は箱を開けた。
すると赤い苺ののったケーキが中に入っていた。
甘い匂いが部屋中に広がる。




夢子「ケーキ?」
ルフレ「君にあげたくて買ったんだ。」

シュルクはひとり思っていた。

シュルク(ケーキ、全額僕が負担しましたけどね…)


夢子「…。」
ルフレ「これでさっき無礼、許して?」
夢子「ケーキなんかで釣られるほど私は…」




グウウウウウ〜・・・・



夢子のお腹が自然とケーキに反応して鳴った。
夢子は顔を真っ赤にしてお腹を押さえる。


夢子「こ、これは…その…///」


ルフレ「あー!やせ我慢しちゃって、やっぱり夢子カワイイ!」
リンク「夢子さん、遠慮せずにケーキ食べてください。」
ルフレ「僕は夢子を食べたい!」
リンク「貴方ばかりに良い思いさせません。」
ルフレ「君だってさっきお風呂覗いただろ!?あれ、言っとくけど重罪だよ!?」


いつものようにルフレとリンクの喧嘩が始まろうとしていた。
その姿を見て夢子がクスクス笑う。


ピット「夢子、機嫌直った!」
夢子「…なんだかいつも通りだなって急に可笑しくなっちゃって。」
アイク「夢子は笑っていた方が良いな。」
シュルク「女性はみんな笑っている方が可愛らしいですからね。」


夢子は普段通りの明るさで剣士男子達に言う。

夢子「ケーキ、皆で食べよう!」









そして・・・・







日が暮れて暗くなったグラウンドで走るベレトの怒りに触れたマルスの事を全員が忘れていた。





マルス「皆…みていてく…r…」
ベレト「脚が動いてないぞ。もっと俊敏に走れ。」
マルス「ゼエゼエ・・・酷いよ〜なんで僕だけこんな目に…」
ベレト「大乱闘の様な俊敏な動きはどうした?だらしないからあと+10周!」
マルス「ヒイイ・・・」


マルスを覗く剣士組と夢子は美味しいケーキを堪能していた。






【帰る場所はここだよって、気づかせてくれる君が好きだ。】【完】




【いいね!!】



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