夕方。
空には夕陽が昇るころ。

夢子宅の玄関ではピットがそわわそわしていた。





【咲いた。咲いた。】




そんなピットの姿を見て剣士男子達は話す。

マルス「どうしたの?ピット君。やけにソワソワしてさー。」
アイク「何か宅配便でも来るのか?」
ピット「いいや、ちょっと夢子の事で…。」


ピットは学校での事をマルスとアイクに喋った。





マルス「…で、スキキライの事であの先生に呼び出されて夢子に庇われて帰ってきたわけ?」
アイク「先生に夢子を差し出すだなんて、ある意味自殺行為だな。」
マルス「今頃夢子は先生に食べられちゃったりして?ひいい・・・」
ピット「うわああーん!僕思ったんだよ、腹をすかせた肉食動物の前にカワイイふわふわの草食動物を置いてるって…
    どうしようどうしよう…!このまま夢子が帰ってこなかったら僕‥」
マルス「夢子を差し出してまで君はマリーゴールドに水をあげたかったんでしょ?
    夢子だって綺麗に花を咲かすところ見たかったんだよ、きっとね。」
アイク「で、水はちゃんとやったのか?」
ピット「うん、それはバッチリだよ!後は夢子が無事に帰ってこればって…。」
マルス「ソワソワの原因はそれだったんだね。」
ピット「あ、それでね…ふたりにも見てもらいたいんだけど」


ピットはマルスとアイクをベランダに呼ぶ。

ふたりが見た先にあったもの。
それはつぼみをつけたマリーゴールドだった。

マルス「凄いじゃん!これお花もう少しで咲くんじゃないの!?」
ピット「うん…だから尚更水あげるのサボりたくなかったんだ。」
アイク「立派なつぼみだな。きっと咲く花も大きく綺麗に咲くだろう。」
ピット「夢子もこの事気づいてたんだ。…だから…。」
マルス「やっぱり夢子はそういう所が可愛いんだよね!」
アイク「マルス、お前めっちゃ鼻の下伸びてるぞ。」
ピット「これ咲いたら一番最初に夢子に見せたいんだ。
    僕もあっちの世界でこの花に救われた人の一人だったりするからー・・・。」

すると、インターフォンが鳴った。


ピンポーン・・・・



ピット「ん…?誰だろ。僕出て見るね。」


家のドアを開けるとそこには夢子が立っていた。
いつもの優しい笑みを浮かべて。

夢子「ただいま、ピット君!」

ピット「夢子!!!よかったー!ベレト先生に食べられてn…」











ベレト「俺が、なんだって?」








ピットは真っ青になある。
夢子の隣にはベレトが立っていたから。
反射的に変な声がでるピット。

ピット「うぇうぇーーー…!?なんで先生が居るの!?」
夢子「うん…なんかね、リンクとルフレの作るごはん美味しいって肩もみしながら話したら
      先生も食べて見たいなって言いだして…ね、先生。」
ベレト「そういう事だから今日は飯食ってく。上がるぞ。」

ピットとマルスとアイクは石化していた。
そしてすぐに我に返る。

ピット「ルフレとリンクとシュルク…そういえば買い出しに行って今居ないんだっけ?」
マルス「今考えれば珍しいメンツでスーパー行ったね…。」
アイク「アイツ等喧嘩してなきゃいいが。」

ベレト「夢子が肩揉んでくれたおかげで大分楽になったな。ありがとう、夢子。」
夢子「いえいえ…時間ある時ならいつでも言ってください!」
ベレト「じゃあ今度先生の家で1vs1で…」
夢子「???」

夢子はベレトの言葉の意味をあまり理解していない。

横の剣士男子は怒りに震えている。
アイクはあまり感じていないようだが、ピットとマルスはピリピリしていた。

ピット「先生、生徒に手だしたらダメなんだからね!」
マルス「そうだよ、犯罪だよ?!」

ベレト「夢子が卒業まであと1年きっただろ。待てば直ぐだ。」
マルス「そういう問題じゃ…」

夢子「ねえ、ピット君。例のアレにお水あげた?」

ピットは夢子の言葉を聞いて思い出した。

ピット「あ、そうそう!夢子の命がけの行動無駄にしなかったよ!ほら、見てみて!」

ピットは夢子の手を引きベランダにいった。
すると、



マリーゴールドは咲いていた。
綺麗なオレンジ色の花弁を開かせて風に揺れる。


夢子「わああ!咲いたんだね、マリーゴールド!」
夢子は目を輝かせる。
ピット「さっき見た時はまだつぼみだったはずなんだけど…」
マルス「ピット君の願いが届いたんだよ、きっと。」
アイク「夢子に1番に見せたかったって言ってたからだな。」
ピット「うう…短いようで長かったよー。良かった、綺麗に咲いてくれて…!」

ベレト「ほう…ピット君は花を育てるのが趣味なのか。詳しいのなら頼みたい事があるんだが。」
ピット「え、何何?」


ベレト「アルフレがだな‥食虫植物育ててるんだが、最近それらが元気が無くて…
    ああいうのは肥料を替えた方が良いのか他に原因があるのか良く解らなくてな。」

ピット「しょくちゅうしょくぶつ…って…虫を食べる植物だよね?」
マルス「なんか悪趣味だね…ま、アルフレらしいけど。」
アイク「適当に虫やればすぐ元気になるんじゃないか?」





そんなこんなで
しばらくして家に帰ってきたルフレ・リンク・シュルクは
ちゃっかり家に上がり込んでるベレトを見て悲鳴をあげた。
マルスとアイクも愚痴をこぼす。ベレトはいつもの真顔で食事を催促する。

そんな中ピットと夢子は咲いたマリーゴールドを見つめていた。


ピット「夢子。」
夢子「なあに?」
ピット「僕、この花が綺麗なうちに押し花にしようと思ってるんだ。」
夢子「押し花?」
ピット「うん、学校の図書館に作り方書いてて…この花が枯れるのただ見てるの辛いから。」
夢子「…素敵!とてもいい考えだと思う!」
ピット「それでね、完成したら夢子にあげたくて…」
夢子「私?」
ピット「貰ってくれる?」
夢子「勿論!」


夢子は嬉しそうに笑った。
ピットは思わず夢子を抱きしめた。

ピット「ありがとう、夢子!やっぱり僕夢子がだーいすき★」

するとすぐに周りがブーイングを始める。
それでもピットは夢子から離れなかった。







【咲いた。咲いた。】【完】




【いいね!!】



目次

[ 59/150 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]