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ピット「嫌だーーーー!!!」
学食のある食堂でピットの大声が響く。
【スキ、キライはいけません。】
マルス「まーたワガママ言って…ほら、ピット君!頑張って食べよう!」
マルスが箸で皿の炒め物のピーマンを取ってピットの口元に持っていく。
それを激しく抵抗して一切受け付けないピット。
ピット「やだやだやだー!緑の悪魔ぁぁあ!!」
アイク「…相変わらずだな、ピットのピーマン嫌い。」
シュルク「食べないと育ちませんよ?」
ルフレ「だから君はちみっこいままなんだよ。」
ピット「…今言ってはいけない発言したね‥ルフレ…!あとで僕と勝負してよ!?」
リンク「まあ好き嫌いは良くないのた確かです。頑張って食べましょうよ。」
夢子「ピット君…良かったら私の蜜柑とピーマン交換する?」
ここで天使の囁き。
こちらの本物の天使のはずな人、ピットは夢子を見て眼を輝かせる。
ピット「女神降臨‥!この世界にも女神っているんだね…!」
ルフレ「夢子〜甘やかしちゃダメだよ?」
夢子「無理矢理食べさせたらそれこそトラウマになるんじゃないかなって思って。」
マルス「夢子優しすぎ!そこが可愛いんだよね!」
ピット「じゃあ夢子、蜜柑と交…」
ピットが夢子とピーマンと蜜柑を交換しようとしたその瞬間だった。
ベレト「ピット、夢子。」
ピット「ふぁ!?」
突然背後霊のようにベレトが声をかけてきた。
ピット「…なんだ、先生か…。びっくりしたー、なぁに?」
ベレト「放課後ふたりは職員室に来い。」
そう言い残すとベレトは去って行った。
ピット「えええ!?また何て急な…」
夢子「なんだろね?」
ピット「うーん、僕授業態度も成績も総合的に良いはず…」
シュルク「それ自分で言います?」
夢子「まあ兎に角放課後になればわかるか…気にしないでおこう、ピット君。」
ピット「うん・・。」
ー放課後…
ピットと夢子は職員室に居た。
ベレトの目の前に立たされるふたり。
理由が分からないし真顔のベレトが怖い。
そんなベレトはイスに座って足を組む。更に怖い。
ピット「せ、せんせー?」
ベレト「…今ふたりを呼んだ理由はわかってるな?」
夢子「すいません‥‥全く見当つきません。」
ベレト「…スキキライだ。」
ピット・夢子「「え?!」」
ベレトは片手で赤ペンを回しながら言う。
ベレト「君は良い歳してピーマンが嫌いだそうだな。」
ピット「ゲッ!バレた…?」
ベレト「そして夢子はそんなピットを甘やかした‥‥。」
夢子「う・・・。」
ベレト「連帯責任というわけだ。これから学校に残って課題をしてもらおうか。」
ピット(僕、今日は家に帰ってマリーゴールドに水あげなきゃいけないのに‥)
ピットの困った表情で考えてる事を読み取った夢子。
そして夢子は手をあげてベレトに抗議する。
夢子「先生。」
ベレト「なんだ?」
夢子「私がピット君の分も課題します。だから、ピット君を見逃してあげてください。」
ピット「夢子!!??」
ベレト「ほう…」
ピット「夢子!ダメだよ!元はと言えば僕のワガママが‥」
夢子「ううん、今まで何度もスキキライの相手してたんだもん。
私の嫌いな物、ピット君が交換してくれた時もあったもの。
それに・・・」
夢子はピットに小さい声で呟いた。
夢子「綺麗に咲いた花、私も見たいから…」
ピットは泣きそうになった。
腹をすかせたライオン(ベレト)の目の前にか弱いウサギ(夢子)を差し出すこの気持ち。
ピット「夢子の勇姿、無駄にしないよ!」
そしてピットは職員室から解放された。
残るは夢子。
ベレトは薄っすら笑う。
普段はあまり見ることが無いその顔がマジで怖い。
夢子「先生…課題って何をすれば…」
若干びびる夢子。
ベレトはサラリと言葉を出す。
ベレト「じゃあ先生の肩もみ、頼もうか。」
夢子「…はい!?」
ベレト「日本に来てデスクワークが多くて肩痛いんだ。揉んでくれ。」
夢子「それって課題なんですか…?」
ベレト「スキキライの話でキツイ課題出すような俺じゃない。」
夢子「…わかりました…。」
実はベレトの企みがうまい具合に進んでいった事に夢子は気づくことなく
それから1時間程ずっと肩もみをさせられていた。
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夢子宅ではピットが泣きながらマリーゴールドに水を与えていた。
ピット「うう、僕…ほんと情けない…女の子に庇って貰うだなんて…
でも、夢子の勇姿を無駄にしないためにも君を満開に咲かせて見せるから!」
前より少し成長した葉っぱがピットの言葉に頷くように揺れた。
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