夢子「今度は貴方が風邪引くなんてね…。」




【処方箋には君の名前。】



夢子はルフレの部屋に居た。
この部屋の主であるルフレはベットの上でうなされて居る。

ルフレ「まさか‥僕が風邪引くなんて。健康には自信あったのに。」


風邪を引いたのにも原因はある。
ルフレもそれは自覚していた。


夢子「こんな真冬にパンイチで外にいるだなんて…ほんとバカよ?」
ルフレ「だってリンクが『夢子さんを本気で愛してるならどんな寒さにも耐えれるでしょう(ドヤ)』って
    勝負しかけてくるんだもん。僕負けたくなくて…っていうか負けるつもりなかったんだけど。
     あの英傑勇者、全然寒そうにしてなかった…今頃高笑いしてるだろう‥悔しい!あの体力馬鹿!」
夢子「だからってそんな挑発にのる貴方もバカよ。ふたりともバカ。大バカ者。」
ルフレ「うう、寒い…。」
夢子「ストーブもう少し薪焚こうか?」
ルフレ「僕としては違うやり方で温めて欲しいんだけど。」
夢子「何が言いたいのかわからないけど却下。大体貴方病人よ?」
ルフレ「しかしこんな情けない姿見せてしまって…申し訳ない。」
夢子「私は全然気にしてないわよ?…それに恩返ししたいし。」
ルフレ「恩返し?」
夢子「日本にいる時…ほら、私がインフルかかった日があったでしょ?
      貴方は弱った私を病院まで送ってくれて…
      お医者さんも早く病院に来て良い判断だったって言ってたし。
      感謝してるのよ?」
ルフレ「ああ、あの時ね。僕も必死だったから‥‥。」
夢子「だから恩返し!貴方が元気になるまで私が面倒みる!」
ルフレ「フフ…リンクには悪いけど風邪引いて僕は良かったと今心の底から思ってる。」
夢子「貴方はもっと反省したほうがいい…。」
ルフレ「君は大丈夫なの?」
夢子「え?」
ルフレ「僕の近くに居たら風邪移されるかもよ?」
夢子「‥多分大丈夫。私がインフル治った後日本の病院で予防注射したから。
     でも、ここにもインフルの菌っているのかしらね?」
ルフレ「僕がインフルって可能性あるのだろうか‥。」
夢子「まあ兎に角少しは抵抗力あるから。
     それに貴方から移されるのなら…別に苦じゃないかも。」
ルフレ「え、今‥何て‥?」
夢子「別に何にもないわよ…。」
ルフレ「なんか眩暈するかも。」
夢子「熱、上がってきたのかしら?ちょっとオデコ触らせてね?」

ルフレのオデコに手を当て自分のオデコにも手を当てる夢子。

夢子「うーんさっきより熱いかも。」
ルフレ「それにちょっと動悸するかも…。」
夢子「ちょっと…大丈夫!?」
ルフレ「夢子、お願いがあるんだけど。」
夢子「私のできる範囲の事ならなんでも言って?」





ルフレ「隣に添い寝してくれない?」



夢子「え。」




ルフレ「大丈夫。絶対変な事しないから。僕病人だしね。流石にそこまで気力も体力も無いから。
    ああ、早くしないと動悸と眩暈が酷くなりそう…。」
夢子「・・・ほんとに何にもしないでしょうね?」
ルフレ「…ダメかい?(しょんぼり)」
夢子「はぁ…もーしょうがないなぁ…少しの間だけよ?」


夢子はルフレの隣に横になった。
ルフレ「僕、今世界で一番幸せだと思う。」
夢子「たったこれだけの事よ?大げさじゃない?」
ルフレ「いいや、僕は確信してる。やっぱ風邪引いて良かった!」
夢子「変なルフレ。」
ルフレ「夢子、もしも…この世界で役目を終えたら…
    僕の求婚本気で考えてね?」
夢子「…うーん、考えておくわ。
      まずは瘴気吸収魔石を見つけなきゃ…ダークにぃと沙羅と…
      そして貴方の血の定めを変えるため。
      私はどんな未来も変えて見せるから。」
ルフレ「‥‥スーッ‥‥。」
夢子「寝ちゃったね。…今はゆっくり休んで…また戦いの日々が来る…それまでは…」
夢子もウトウトと目を閉じ、寝てしまった。





ひと時の平和な時間。
そんな彼女と彼にこれからどんな運命が待ち受けているか。
平和か過酷か残酷か。
それは誰にも、神という存在が居たとしても
きっとその神にも結末はわからないだろう。


それまでは静かに、夢を見ている。



【いいね!!】



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