【君がいるだけで世界の価値は急上昇。2】


マルスに連れられ夢子は喫茶店に入った。
朝なのにかなり賑わっている。
メイド「あ、マルスさん。今日は彼女さん連れての御来店ですか?」
マルス「ふふ、まあね☆」
夢子「ばっ…!私は貴方の彼女では‥」
メイド「今カップル向けのメニューあるんですよ!
    彼女さんとふたりで食べてみては?」
マルス「おお、それいいね!じゃあそれちょーだい!」
メイド「かしこまりました!」
メイドがメニューを承って厨房の奥へと消えてしまった。
夢子「もーマルスったら何考えてるのよ!」
マルス「だってこんなチャンス他にないよ!?運命としか思えない!」
夢子「そういう問題じゃ‥‥」


10分後、メニューが来る。
1つの大きなグラスにメロンソーダが入ってストローが2本。
メイド「お待たせしました、こちらがメロメロソーダでございます。」
夢子「ちょ…これは……。」
マルス「うーん!良いね!如何にもデートって雰囲気でるよ!」
夢子「色々突っ込み所多いのよね…まず朝からメロンソーダ。そしてこの見た目とネーミング…」
マルス「いいじゃん!飲もうよ!」
夢子「うー。最悪な事に朝から何も口にしないできたから喉カラカラなのよね…」
マルス「ルフレ達も見てないし少しくらいならいいでしょ?」
夢子「はあ、わかったわよ。飲むね〜。ゴクゴク‥‥。」
マルス「僕も!ゴクゴク‥‥。」
夢子とマルスの顔が近くなる。
夢子は普通に気にせず飲んでるが、マルスは実は結構興奮していた。
マルス(夢子の顔近い…それにめちゃカワイイ…
    これはモーニングというより夢子を食べたい‥‥。)
夢子「…どうしたの?変な顔で笑って。」
マルス「フフ…ちょっとね。」
夢子「流石に朝ごはんがメロンソーダだけってよくないわね。
      私サンドウィッチ食べよっと。」
マルス「僕にはこの後ご馳走が待ってる気がするからいいや。」
夢子「…?変なの。」






食事を終えた二人はメインの演奏会の会場へと来ていた。
人はちらほら集まっていたが、開始3時間前。まだまだ準備もできていない。
マルス「流石に早く着すぎたね。」
夢子「ほんとね、会場の準備も途中みたい。
マルス「あ、夢子…!こっちきて!」
突然マルスが夢子の手を引く。
そして近くの大木に引き寄せ隠れる。
夢子「なになに!?急にどうしたの!?」
マルスが隠れたのにはちゃんとした理由があった。
それはライバルたちの襲撃だ。

マルス「僕が夢子連れ出したのもう皆にバレたみたい。
    皆が君の事探してる…」
夢子「だったら皆で仲良く演奏会見ればいいんじゃ‥」
マルス「僕は君と二人きりで見たいの!だってデートだよ!?」
夢子「はぁ…。」
マルス「今日は久々に神様が僕に味方してくれたんだ。絶対デートは成功させる…
    あ、そうだ、良い事考えた!夢子、この大木に登れる?」
夢子「え、なんで?」
マルス「この木の上ならルフレ達にバレないでしょ?フフ、我ながら良い作戦!」
夢子「うーん、まあよくわからないけど…今日は貴方のいう事たまには聞こうかな?」
マルス「じゃあ早く登って!急がないとまた見回りに来るだろうから…。」



マルスと夢子は木に登った。
この木は樹齢も長く結構大きい。
ふたりは頑張っててっぺんまで登った。
夢子は息をのんだ。
幻双国の美しい景色が目に入ったから。
風は冷たく緑の豊かな素敵なファンタジーの国。
夢子は改めて異世界を感じた。
マルス「ここいいでしょ?」
夢子「うん…!凄い素敵な場所!」
マルス「実は君にこの景色見せたいって思ってたんだ。」
夢子「ほんとに?ありがとう、何か感動したわ!」
マルス「君の喜ぶ顔みたいから。普段もそうだけど君の笑顔が僕らの力になるんだ。」
夢子「あはは、またそんな事って…。」
マルス「ねえ、夢子。僕と結婚して真のお姫様になる気ない?」
夢子「え…!?何馬鹿な事言ってるのよ!!///」
マルス「この国では君の身分貴族だけど…僕と一緒になったら本物のお姫様になれるんだよ?」
夢子「私はそんな身分なんて気にしないわよ…普通の村人で十分だわ。」
マルス「君って欲がないよね。ま、僕は君のそういう所が好きなんだけどね〜。」
夢子「お姫様になったら国民の為に色々考えなきゃだし。」
マルス「その辺は全て僕が全力でサポートするよ。どう?お姫様にならない?」
夢子「もーからかうのやめて〜!」
マルス「いつもカワイイけど今日の君もっとカワイイ!
    ね、ここなら誰も邪魔しない…」
マルスが夢子ににじり寄る。
夢子は枝の後ろへと逃げる。
しかし逃げれる距離は限られてる。
マルスがマジな顔してきた。
夢子「‥‥ちょ、マルス…何考えてるの?」
マルス「イケナイ事かな?フフフ!」
夢子「何ニヤニヤしてるのよ…!此処野外よ!?それに演奏聞くんだし…」
マルス「演奏より君の声が聴きたいな♪」
夢子「うわあ‥‥変態!」
マルス「じゃあ早速僕の朝ごはんになって?」
マルスが逃げきれない夢子ににじり寄った。
その時だった。
マルスと夢子の下の枝が変な音をあげる。



ミシミシ・・・


夢子「え、なんの音?」
マルス「あ。」




バキッ・・・・・!!!





バキバキバキ!メキッ!!

2人「「わあああああああー!!!!」」


ドシンッ!!!!!

ふたりの乗ってた大木の枝が折れた。
ギャグ漫画のように地面へ落下するマルスと夢子。
マルスは顔面から芝生に落ちた。
一方夢子は…

ルフレ「夢子、大丈夫?怪我はない?」
夢子「あ…ルフレ!!」

ルフレが夢子をお姫様抱っこでダイレクトにキャッチしていた。
マルス「ヴッ…僕のイケメンな顔に傷が…」
鼻血を出すマルスにルフレが近寄る。

ルフレ「…英雄王、これは一体どういう事だい?」

ルフレの顔は笑ってるようで笑っていない黒い笑み。
マルスはしらばっくれる。

マルス「いや…大きな鳥が襲ってきて空に飛んで…あるぇ〜?なんだっけ?」
ルフレ「なに無理矢理な言い訳してるんだい?
    君が夢子を連れだしたのもう城中にバレてるから。」
マルス「…だって!君ばかりずるいじゃないか!
    四六時中夢子を連れまわして…たまには僕の番でもいいでしょ!?」
ルフレ「いいかい?英雄王。夢子は僕の彼女だからね?
    今回みたいに危険な目に合わせたら例え君でも許さないよ(ニコッ)」
マルス「うっ・・・。」
ルフレ「今日は演奏会だったね。夢子、僕と一緒に見よう!」
マルス「ええ!?僕とのデートは!?」
夢子「…と、そういうわけだから…ごめんねマルス。また今度一緒に行きましょ。」




マルスは鼻血を出しながひとり嘆いた。
こっそり練り上げていたデートプランは
自分の欲が暴走したせいで全てが台無しになった。
でも、良い思い出も少しは作れたような…気がする。





マルス「…まだまだ、僕は諦めないからね?!待ってて、夢子。
    ルフレより君にふさわしい白馬の王子様になってみせるから!」



【いいね!!】



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