ふと目が覚めて、シーカーストーンを手にして、
大地を駆け抜け塔に光を与えた。
そこから俺の冒険が始まった。
何度も何度も戦って、時には傷ついて。倒れて。そしてー・・・



【決して譲れないものがあるだけなのに、何故こうも運命は無情なのだろうか。】






ある日マスターにそんな俺はスマブラという新たな地に呼ばれた。
そこでも戦う日々。
なんだか段々と感覚がなくなっていく気がした。
その時
今度は日本という異次元に放り出された。
瞳を開けるとそこには夢子さんがいた。
最初は理不尽さに嘆いた。でも・・・
彼女は何もわからない俺を優しく迎えてくれた。
そしてその世界の事、今の状況を理解した。
夢子さんと一緒にいて、俺の中に芽生えた気持ちに気付くのも遅くはなかった。
今、幻双国に来て…思う事がある。
いや、以前からずっと思ってた。
男性ファイター陣はほぼ皆夢子さんに好意がある。
そこで再び理不尽さが俺の襲う。
夢子さんに一番最初に出会ったのは俺なのに
彼女の心は既に捕られてしまったー・・・



夢子「…でね、リンク、ピット君がね…」
ピット「ああ!その話はダメー!」
マルス「君ってほんとおっちょこちょいだよね〜これだからお子様は…。」
ピット「なんだとー!おまるすじじい!」
マルス「僕はぴちぴちだよ!?君相当視力悪いんじゃないの?」
リンク「・・・。」
夢子「リンク?どうしたの?顔色悪いよ?」


夢子とファイター達はディナーを食べている最中だった。
他愛もない話をテーブル越しに伝わる。
そんな中リンクだけ箸が動いてない。
魂が何所か遠くへ行ってしまったような表情で考え込んでる。

夢子「ほんとに大丈夫?」
リンク「え…?ああ、はい。どうかしました?」
夢子「今の話聞いてなかったの?」
リンク「…すいません。考え事してて。」
夢子「大丈夫?悩み事でもあるの?」
リンク「…無いと言えばウソになるでしょうね。」
夢子「私で良ければ相談にのるよ?」
ピット「あー!リンクだけずるい!」
リンク「・・・。」
ルキナ「リンクさん本当に具合悪いのでは?」
カムイ「無理しないほうが良いですよ?」
ルフレ「君が元気ないとなんか調子狂うな〜。いつもの張り合いがないと…。」
リンク「フン、貴方には一生分からない気持ちです。」
ルフレ「‥あれ?なんか怒ってる?」
リンク「それも無いと言えばウソでしょう。」
ルフレ「ふーん…よくわからないけど機嫌悪いのは察したかな。」
夢子「リンク…。」
リンク「すいません、ちょっと夜風に当たってきます。」

リンクは席から立った。そして速足で出ていく。
ルフレ「・・・?今日の彼なんか変だね?」
夢子「…リンクの事心配だからちょっと様子見て来るね?」
ルフレ「うん。料理が冷めないうちに早めに帰ってきてね?」






夢子は城の一番広いバルコニーに居た。
後ろからそっと近づく夢子。
リンクは手すりに腕をかけ遠くを見つめていた。
夢子「リンク…。」
リンク「…夢子さんですか。来てくれたんですね?」
夢子「皆心配してるよ?何かあったの?」
リンク「俺は‥どうしたらいいんでしょう。」
夢子「え?」
リンク「この思いを無くそうと毎日努力しても消えないんです。
    結局俺の存在価値が見出せなくて。
    掴もうとしても貴女はするりと手を交わしてしまう。
    そしていつか姿さえ見えなくなって遠い場所に行ってしまうんじゃないかって
    不安で不安で。頭がおかしくなりそうです。」
夢子「私だって存在価値無いって思う事、あるよ?」
リンク「貴女も…?」
夢子「ほら、周りと比べてとても弱くて…
      足手まといでしかない私がこの世界に来て本当に良かったのかって。
      迷惑かけてばかりなの、日本でもココでも変わらない気がして。」
リンク「貴女はいるだけでいいんですよ?皆の力になってるのは事実ですし。」
夢子「だったらリンクだってここにいるだけでいいんだよ!」
リンク「・・・!」
夢子「皆も、そして私も貴方を必要としてる。それだけで価値があるわ。」
リンク「夢子さん…。」
夢子「だから、笑って?」
リンク「うっ…」

リンクは泣いていた。

リンク「あれ、俺…泣きたくないのに…涙が止まらない…。」
夢子「辛い時はいっぱい泣いた方がいいの。そしたら明日からまた笑える。」
リンク「夢子さん…やっぱり俺は貴女の事が好きです。
    この気持ち、封じようと思っても抑えきれない…。
    でも明日からまたいつも通りの俺に戻ります。
    俺も貴女に笑顔をあげれるように、頑張ります。」
夢子「うん、その調子!」
リンク「それに、まだ諦めてませんからね?
    絶対にルフレから貴女を奪還します。」
夢子「私、二股とかは嫌いだけど…貴方の事は好きよ?」
リンク「え…!?」
夢子「ここから見る夜景、素敵ね!
      日本も綺麗だったけどこの世界は別の美しさがあるなー!」
リンク「そう言ってる貴女の横顔も綺麗ですけどね。」
夢子「またそうやって煽てる…皆私の事煽てるの好きだよね?何でかなー」
リンク「そりゃ皆貴女にハートを撃ち抜かれてますからね…ある意味致命傷です。」
夢子「?」
リンク「さあ、部屋に戻りますか。冷えてきましたから…
    風邪なんか引かせたらルフレに半殺しにされてしまいますし。」
夢子「そうだね、そろそろ部屋に戻ろ…」


夢子が言葉を言いかけた時。

リンクは夢子の唇にキスをした。
浅く…短いキス。


夢子「・・・!///」
リンク「俺は諦めません。何度でも貴女が好きと言います。
    だから、俺も笑顔を忘れないから…貴女もずっと笑っててください。」
夢子「リンク…。」






リンクは決めた。この世界でこそ己の使命を果たして
最後は彼女の側にずっと立つと。
他の誰にも負けないくらい魅力的になるんだと心に誓った。




リンク「気持ち、強く持たなきゃ…ですね。」






【いいね!!】



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