夢子と脚に怪我をしたルフレは落ちた穴の横穴から野ネズミの後を追いかけていた。



【まわりはトゲトゲ、中は甘〜いもの、なーんだ?3】


親子のネズミは走ったり時々止まって立って耳とヒゲをピクピクさせている。
そしてまた再び走り出す。

夢子「相手が小さい生き物でよかったわ。
      大きな熊とかだと追いかけるのも大変そうだしそれ以前の問題よね。」
ルフレ「ネズミって頭は小さいけど賢い動物だよね。
    この何処かで聞いた噂も当たってたみたい。…風の流れを感じる。」
夢子「じゃあ何処かに通じてる出口があるかも、よね?」
ルフレ「順調で良かったよ。…でも出口に出たら君のと2人きりも終わっちゃうね?」
夢子「貴方怪我人なのよ?もっと自分の事考えたら?」
ルフレ「考えてるからこういう結果になるんだよ?」
夢子「貴方の脳内にはお花が咲いてるわ…。」
ルフレ「君という花、だけどね?」
夢子「あ…なんか光が見えて来た…!」
ルフレ「本当だ、風の流れも強い…出口だ!」



夢子とルフレは穴から脱出することに成功した。
穴の出口は高い山の上だった。
まわりには栗の木が沢山ある。


夢子「ふー、なんかずっと暗い所歩いてたから目に光が眩しい…。」
      それに‥此処みんなで栗拾った所より栗あるよ!」
ルフレ「ほんとだね、手付かずって感じ。自然守られてる感半端ないね!」
夢子「ピット君たちに教えたら喜ぶかな?」
ルフレ「まあね…それより、疑問があるんだ。」
ルフレは指を刺す。
その方向に先ほど追いかけてた野ネズミの親子がこちらの穴へと走って来る。
とても慌てた様子で物凄い勢いで穴へ逃げる。


ルフレ「こんな良い場所なのに人の手が付けられていない。
    そして野ネズミが何かに追われるように逃げてきた。
    ―…この意味、引っ掛からない?」
夢子「思えばそうね…」





夢子とルフレが話し合ってると急に地上に影が出来た。
ふたりは恐る恐る振り向く。

そこには


巨大な熊型のモンスターが居た。



夢子「ヒイ!?まさかの熊?!!」

ルフレ「ああ、わかった。僕の推理が正しければ…

    この熊はここ一帯の主だね。」

夢子「冷静だけど、何か策でもあるの?」
ルフレ「んーない☆彡」
夢子「ちょ…どうするのよ…貴方はそんな脚で逃げるの大変でしょう?」
ルフレ「夢子、良い機会だからここでこの熊を倒すんだ!」
夢子「…マジですか…?」
ルフレ「大丈夫、君が動けるよう僕が支持するから!
    …これでも軍師って呼ばれてた男だよ?信用してよ?」
夢子「わ、わかった…。」


熊型モンスターは赤い目を光らせふたりに牙をむく。
鼻息は荒く涎が地面に滴る。

ルフレ「相当怒ってるね…熊くん、そんなに縄張りを荒らされるのが嫌なのかい?」
夢子「…来る!」


熊がこちらに向かって走ってきた。
視線にあるのは夢子。
ルフレ「やっぱりモンスターは真っ先に君を狙うね?
    魔女の効力って凄いね。」
夢子は熊が一振りした腕を華麗にかわす。
そして熊の後ろをとる。

夢子「貴方に恨みはないけど…ごめんね、ファイア!」

ブワッ!!


熊の身体を炎が包み込む。
熊は悶える。


熊「グオオオオオオオ!!!」

それでも夢子に攻撃をしようと熊は襲い掛かる。
夢子は後ずさりをする。
しかし山であることを一瞬忘れてしまっていた夢子。
木の根に足を取られる。

夢子は尻餅をついてしまった。


夢子「しまった…!」

熊は牙をむき勢いよく夢子の上に立つ。
やはりこうすると熊はとても大きい。

夢子「やられる…!」

しかし、熊は動きを止めた。
夢子の頬に何かが落ちる。
手で拭うとそれは赤い。血だ。
よく見ると動きを止めた熊の胸に見慣れたサンダーソードが刺さっている。

ルフレだ。

ルフレが熊に渾身の一撃を喰らわせていた。
熊の目から光が消えて力なく倒れる。

ルフレ「夢子、大丈夫だった?!」
夢子「貴方こそ無茶をして…。」
ルフレ「だってこの熊、君ばっか見てて僕なんか雑草見てるみたいな仕草だったよ?
    君に夢中になっていいのは僕だけなのに!」
夢子「色々突っ込み所あるけど、一応お礼言うわ。ありがと。その脚で助けてくれるなんて…
      ちょっと見直したわ。」
ルフレ「お礼は身体d…」


ルフレが何か卑猥な発言をしそうになったその時。
リンク達の声が聞こえてきた。

夢子「あ、皆救助に来てくれたよ!良かった〜やっと帰れるね!」
ルフレ「ムム…」
夢子「ルフレの作った栗料理、楽しみにしてるからね?」
夢子は笑顔で言う。
ルフレはおもった。

ルフレ(彼女の笑顔は僕がずっと守る。
   例え奈落へ落ちたとしても腕を伸ばして君を掴んで見せる。)

後日城に帰ったルフレは脚の治療をしてすぐに立ち直った。
ダイニングには甘い栗の香りが漂う。





【完】




【いいね!!】




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