【君は折れた翼で飛んで地に落ちてゆく。僕はそんな姿見たくも考えたくもない。】





僕は城の屋上に居た。
夢子とふたり。
いや、僕は孤立している。
彼女も孤立している。
ふたりの間には見えない壁がある。
彼女は、この屋上から飛び降りようとしていた。
色んなことを考え、傷つき、ボロボロになってしまったらしい。
僕はそんな彼女の異変に…心の傷に気付けなかった。
もうあと数メートルで足を踏み外すところまできている。
僕は必死だ。
彼女を失いたくない。
いつからこんな風になってしまったんだ?
そんな中、彼女はゆっくりと口を開く。




夢子「もう、疲れたの。何も考えたくないし何もできない。
      無力な自分が嫌だ。そして、貴方の事も。」
ルフレ「僕は何を間違った…?君に沢山の愛を注いだはずなのに。」
夢子「それが私の重荷なの。」
ルフレ「お願いだ、もうやめてほしい。僕のいけないところ全て治すから…だから‥」
夢子「もう遅いわ。さよなら、ルフレ。
      もしも貴方が天国に来ても私の事は二度と探さないでね。
      ああ、私が行くはきっと地獄だけど。」
夢子の身体が宙に舞う。
足は床から離れる。





ルフレ「夢子‥‥!!!」





ルフレは目を覚ました。
目の前には魔導書で散らかったテーブル。
ルフレ「居眠り…?」
起きたばかりの重い瞼をこする。
ルフレ「それにしても恐ろしく嫌な夢だった…なんであんな夢みたんだ?」
時計を見ると針は朝の6時を指していた。
ルフレ「顔、洗ってこよう…。」




ルフレが部屋から出た。
使用人が騒がしそうにしている。
ルフレ「…?何かあったのかな?」



すると廊下の向こう側からピットが走ってきた。
ルフレ「おはよう、ピット君。」
ピット「ルフレ…」
ルフレ「どうしたのさ?顔真っ青だよ?朝ご飯に嫌いなピーマンでも出たのかい?」
ピット「…夢子が…。」




ルフレは聞いてしまった。
夢子が屋上から足を滑らせ地上に落ちたという事を。



ルフレ「…嘘でしょ?」
ピット「僕がこんな頭のおかしい嘘つくとおもう?!
    夢子、頭を強く打ったみたいで…意識がないんだ。」
ルフレ「彼女は今どこに!?」
ピット「医務室にいるよ。…行っても絶望しかないと思うけど…」
ルフレ「夢子はなんで屋上に…?」
ピット「僕も詳しい事は知らないけど…目撃した城の人に聞いたら土砂降りの雨の中立っていたって。
    多分足を滑らせたのか…それか…」
ルフレ「自殺未遂…?」
ピット「その可能性があるよ。寧ろその可能性が一番高い…。」
ルフレ「僕の夢は正夢になってしまったのか…!?」
ピット「ルフレ、夢子の所に行ってあげて。…もしかしたら最悪の自体も考えなきゃ。」
ルフレ「夢子は死なない!…死なせやしない…!」





ルフレは凄い勢いで医務室へと駆けた。
夢子の顔を思い浮かべながら。
ルフレ「君が遠くに行くなんてあり得ない。そんなこと有ったら僕は神を呪う…!」



医務室に付いた。
ドアを開けるルフレ。息が乱れている。
開けたドアの中にあるベットの上には夢子が視界に入ってきた。
周りには真っ青な表情をし泣き崩れるファイター達が立っていた。




・・・眠っている?




本当に眠っている…だけなのか?



いや、彼女は―・・・














もう二度と口を開くことも微笑む事もない。








【いいね!!】




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