【ずっとずっとずーっと、おんなじがいいね。】









夢子は城のすぐ外にある花壇の手入れをしていた。
色んな種類の花を植えた花壇は色取り取りでとても華やかだ。
甘い香りが辺りを包み込む。

夢子「やっとここまで出来た…!」


満足そうに微笑む夢子の背後に誰かがそっと忍び寄る。
夢子は花に夢中で気づかない。
そして…






ピット「わっ!!!」



夢子「え!?」


後ろから忍び寄っていたのはピットだった。
夢子は想像通りのリアクションをする。

ピット「えへへ、驚いたー?」
夢子「もーピット君ってば…脅かさないでよ!びっくりしたー…寿命縮むわ…。」
ピット「ええ、夢子の寿命縮むならもう二度としないよ!」
夢子「ふふ、大げさに言ってみただけ。仕返しよ?」
ピット「夢子はたまに意地悪なときあるよね〜」

ピットは目の前の花壇の花に気付く。
ピット「うわー!大分綺麗に整ったね!」
夢子「うん、私が来る前は放置状態で何も植えられてなかったから…」
ピット「全部一人で植えたの?!すごい…!」
夢子「これで戦いに疲れて帰ってくるファイターの皆がこの花壇を見て
      少しでも疲れが取れるならって思って。」
ピット「夢子って優しいね!」
夢子「ほら…私まだ皆みたいに強くないし…こういう事しか出来ないから…。」
ピット「皆元気になるよ!僕だって今この綺麗な花見て元気出たもん!」
夢子「ほんと!?」
ピット「うん!夢子は皆の役に立ててるよ!」







ピットの言葉を聞いた夢子は瞳を潤す。

その姿を見て慌てるピット。



ピット「わわ…ごめん、夢子の事泣かすつもりじゃなかったのに…」
夢子「ううん、嬉し泣きだから。こんな私でも人の役に立ててるって言われて嬉しくて。
      ピット君、ありがとね?」
ピット「例え何か失敗したときでも、次があるから不安にならなくていいんだ。
    日本で学んだよ?失敗は成功の基って言葉を。
    だから当たって砕けろ!って気持ちで僕は毎日生きてるよ!」
夢子「なんだか今日はピット君に励まされてばかりね…
      よし、もっとお花植えていつかこの国をお花で包まれるような国にする!
      皆笑顔で、争いもなく、モンスターも全滅して…真の平和を取り戻す。
      あとダークにぃと沙羅の事も、絶対あの二人をこちら側に奪還する。」
ピット「僕も協力するよ!例え何があってもずっと夢子の事護衛するよ?」
夢子「ありがと!頼もしいわ!」
ピット「ねね、僕もお花植えたいな!植えてもいい?」
夢子「勿論!今植え替えしてる最中だったの。」

ピットは花壇の横に置かれてた花を見て問う。

ピット「この花は何て名前なのかな?」
夢子「それはマリーゴールドよ。日本にもある種類なの!」
ピット「ふーん、オレンジ色で綺麗だね!この花植えてもいい?」
夢子「うん!」




ピット手を汚しながら花を植える。
そして植えながら夢子に言った。

ピット「戦いに明け暮れる僕らだけど、こういう平和なひと時…ずっと続けばいいなって思う。」
夢子「私も、なるべくなら戦いたくない。モンスターとも、人間とも。」
ピット「そうだね…誰もが争わない世界、実現するのは簡単そうで難しいんだ。」
夢子「ピット君は変わらないでね?」
ピット「うん、夢子もね!ずっと僕らの隣で笑っていて?」






ピットの花のような笑顔に夢子も微笑み返した。
マリーゴールドは風に揺れた。
散る時が来るその時まで、優雅に華麗に・・・






【いいね!!】


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