【誰でもいいから助けてほしい時に限って、居合わせるのは最悪な奴。】
※アルフレ夢短編=【狂おしいほどぬくもりを求めても
         辿り着く先に有るものは結局孤独なのだから】の続編です。



夢子は街でゴロツキに囲まれていた。
何処の世界でも夢子には不思議な魅力があるらしい。
戦っても良いが町中で魔導書を出せずにいた。
まわりの人々は怯えている。
中には子供を連れた家族もいる。

夢子「此処で戦ったら皆傷つけちゃう…」

ゴロツキ達は涎を垂らして夢子に詰め寄る。

族A「フヒヒ、観念しなお嬢ちゃん。抵抗しないほうが身のためだぜ?
   一緒に来てもらおう…グヘヘ。」
夢子「嫌よ…誰が獣みたいなあんた達なんかと…」
族B「じゃあ此処でひと暴れしてもいいんだな?」
夢子「くっ‥。」
族A「さあ来い。俺たちが楽しい遊び教えてやるよ。」


ゴロツキ達が夢子に手を伸ばした…その時だった。


フードを被った人物が夢子の目の前に現れる。

族A「ああ?なんだお前は。」

フードの人物は剣を出すとすぐにゴロツキ共を一掃した。
街の人を一切傷つけずに。

夢子「…!?」
???「さあ、夢子。こっちに来るんだ!」
族B「なんだこいつ…つええ‥‥!」
族A「一旦退却だ!!」
???「ふーん…もう逃げるのかい?弱いね。これだから生身の人間って…。
    まあ人間でも魔物でも刃向かうのなら敵だけど。さ、夢子、行こう!」




夢子とフードを被った人物は裏路地へと行った。

夢子「ねえルフレ、もういい加減フードなんか取ったら?カッコつけすぎよ?」
???「うん、じゃあそうするよ。」

フードを取った人物の姿を見て夢子は凍り付く。
紅い眼に黒い髪に不敵な笑み―・・・



ルフレではなく、アルフレだったから。


アルフレ「やっぱり格好が一緒じゃあいつまで経ってもルフレと勘違いされるね?
     たまにはイメチェンしてみようかな。髪染めたりしよっか?フフフ。」
夢子「…アルフレ…!」
アルフレ「しょうがないか、ルフレと見た目一緒だもんね。
     …でも、よく見て?僕の方がカッコイイでしょ?」
夢子「なんで私の事助けたの…!?あちら側(幻失国)でしょ?
     こんなところまできて‥何が目的!?」
アルフレ「前にも言ったけど僕の本命の野望はギムレー様復活だけど、
     君の事が気になって仕方が無いんだ。
     でも感謝してもいいはずだよ?
     あのままゴロツキ共に従ってったら君は今頃酷い目にあってたかもだし。」
夢子「貴方だってそういう素質あるでしょ?」
アルフレ「あんな下品な奴等と一緒にしないでよ。僕のは美学のあるサディストだし。」
夢子「私からしたら大して変わらないわ‥‥。」
アルフレ「しかしこの国は平和ボケしてるよね。ルフレが平和ボケしてるのにもうなづけるよ。」
夢子「これが本当の国の姿よ‥貴方たちの国が可笑しいだけ。」
アルフレ「そんなもんかなぁ。どっちにしろ僕にはここは眩しすぎるんだよね。
      やっぱりクレイジー様の創った国のほうがいいや。」
夢子「じゃあさっさと帰れば?」
アルフレ「夢子、君はなんで僕に冷たいんだい?君が好きなルフレだよ?」
夢子「一緒にしないで…貴方とこっちのルフレは全然違う。」
アルフレ「ふーん。そんなもんかな。まあそのうち僕しか見えないようにしてあげるよ。」
夢子「じゃあね、私はもう行くから。助けてくれたことは感謝するけど…二度とこの国に来ないで。」
アルフレ「それは無理だよ。偵察は大切な仕事だからね。」
夢子「勝手な事ばかり…」
アルフレ「そうだ、夢子、ひとつ忘れてる事があった。」
夢子「何よ…」


突然アルフレは夢子の体を寄せ顎を引くと唇を重ねた。



夢子「!!!」
アルフレ「フフ、これで少しの間は君の体温覚えていられる。」

夢子「いや…!なにすんのよ!」


夢子はアルフレを突き放し口を手の甲でゴシゴシと擦る。

アルフレ「ありがと。じゃあまた会おう。
今日は君を攫うつもりでいたけど、もう少しだけ‥楽しみはもう少しとっておくね。
次会うときはとても痛くてとても気持ちいい事してあげるね?フフ。」


アルフレは再びフードを被るとさっと去ってしまった。




夢子は涙を浮かべる。
そして胸に手を当てる。
夢子「なんで‥心がバクバクしてるの…?あんな奴ルフレとは全然違うのに…」




【いいね!!】



目次


[ 36/150 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]