夢子は笑った。
瞳から次々に涙が溢れ出す。
コワイ…怖い…誰か、助けて欲しい。
この奈落の底のような状況に光は届くのか。
いつもみたいに助けは来ない。




【こんなに愛しているのに、どうして君は僕から逃げようとするの?】※ヤンデレサイコパス要素有。




アルフレは夢子の顔を見ながら黒い笑みを浮かべる。

アルフレ「なんだ、やれば出来るんだね。
     君のその顔、最高だよ!
     じゃあご褒美あげる。」

アルフレは夢子の顔をそのまま自分の顔へ無理矢理近づける。
そしてキスをする。

夢子「!!!」

アルフレは唇を舐めとり舌を口内へ入れてくる。

夢子「んん…!やめ…!」
アルフレは笑っている。この状況を最高に楽しんでいる。


しばらくしてやっと口が離れる。
アルフレは相変わらずニヤニヤと笑っている。
夢子は必死に口を拭う。
夢子「…笑ったらしないって…言ってたじゃない…!?貴方嘘だったのね‥!?」
アルフレ「あれはおしおき。これはご褒美の分類に入るんだよ?だから嘘じゃない。」
夢子「こんなのおかしい…!」
アルフレ「おかしいなんてことないよ。世の中全て必然なんだ。
     今日も今までもこれからも、ずーっとね。」
夢子「私は貴方なんかに堕とされない…。」
アルフレ「指2本折っただけでわめいてたのに?」
夢子「うっ…。」
アルフレ「君には力はないよ。魔導書だってあの潰された花束のとこに落としたでしょ?
     魔導書の無い君にはもう抵抗する力はない。
     体術なんてできないんでしょ?それに剣も扱えない。
     ―…この意味わかるでしょ?いい加減僕に服従するんだ。」

夢子「まだ…まだよ…私は諦めない…!」



夢子は先ほど自分の顔が沈められた桶の水をアルフレにかけた。



バシャアアアアアアアアア!!

アルフレ「!?」




アルフレに水がかかり怯んだ隙に夢子は逃げた。
走って走って。暗い洞窟を走った。
足場は悪いが不思議と走れた。
出口かどこかわからないが兎に角走る。
足を止めたら終わる。
夢子は以前ルフレが言ってた事を思い出す。

ルフレ『洞窟の出口を知るには風を気配を読むんだ。風の来る方角に外に通じる道があるんだよ。』


夢子は指に唾液を付けて風を探す。
微かに風の通る感じがする。
夢子はまた走る。


一方アルフレも諦めてない。

アルフレ「あーあ、コートびちょびちょだよ。
     …これはまたお仕置きをしないとね?夢子。」

夢子は息を切らしながら走っていた。
風の気配が少しずつ強くなっていく。
このままいけば、外に出られる…
夢子は確信していた。

するとその時だった。

夢子の頭上から何かが落ちてきた。



ガシャン!!!


…檻だ。
夢子は檻に捕らわれてしまった。

夢子「何よコレ…!」

アルフレ「僕が仕掛けた罠だよ。君がそうやって逃げ出すのも想定してたから、仕掛けたんだ。
     そしたら見事にハマってくれたね。流石軍師って言ってくれないかい?フフフ。」
夢子「ここから出して‥!」
アルフレ「それにしても良く出口の方向分かったね?
     罠仕掛けてなかったら逃げられてたかも。」
夢子「私は城に帰る…!皆のとこに帰るのよ‥!」
アルフレ「あのさぁ…状況分かってよ。君はもう僕のモノなんだよ。
     


   
    ―・・・こんなに愛してるのに、どうして君は僕から逃げようとするの?」


夢子「貴方が勝手に思ってるだけでしょ!?私が好きなのは…」
アルフレ「ルフレは僕だよ?僕らは腐れ縁。
     最終的には僕らは1つに戻るんだ。それなら同類だよ?
     今はただ人格が二つに割れてるだけじゃないか。
     ルフレは僕。僕はルフレ。
     そして君が好きなのはルフレ。
     …完璧じゃないか!!!」
夢子「貴方なんかルフレじゃない…!」
アルフレ「…物分かり悪いね、君も。」
夢子「なんでそんな悲しそうな顔するのよ…その顔でその表情は止めて…!
     なんで貴方がルフレと同じ顔なのよ…おかしいわよこんなの…!」
アルフレ「君を僕のモノにするため、だよ。言っただろ、必然だと。」





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