【ほら、笑ってごらん?その可愛らしい顔で。】※ヤンデレサイコパス要素有。













夢子は夢を見ていた。
ルフレと一緒に城の近くの花畑へ行った時の思い出。
ルフレは優しく手を伸ばしてくれた。
私はその手を取って‥私は…


―・・・私はあの時何をしていたんだっけ?





夢子は苦しくて目を覚ました。
顔が濡れている。
目の前には水の入った桶。
そして現実へと引き戻される。
そう、最悪な現実へ。



夢子「クッ・・・ゲホッ・・・!」
アルフレ「勝手に寝ないでくれよ?僕はまだまだ遊び足りないんだ。」
夢子「アルフレ…!」
アルフレ「ねえ、どんな夢見てたの?気絶した後とても気持ちよさそうな顔だったから
     堪らなくなってつい水に沈めちゃった。…ごめんね?」
夢子「謝る気なんて…無い癖に…!」
アルフレ「うーんまあそうだけどね。君は全てお見通しなんだね。」
夢子「うう、痛い‥‥。」
アルフレ「その程度の怪我でもうこんなにボロボロ。んー人間って脆いね?
     じゃあサービス。君が気持ちのいい声出せるように傷薬あげるよ。」
アルフレは夢子の折れた指に瓶の液体をかける。
みるみると骨が再生し折れた指は元通りになった。
夢子「…なんでこんなことするの!?一思いに殺したらいいじゃない!」
アルフレ「あれ、君…勘違いしてる様だけど…僕は君を殺さないよ?」
夢子「酷い事ばかりするくせにそんな事…よく言えるわね?!」
アルフレ「え、これって酷い事なの?僕は傷治してあげたんだよ?
     ‥もっと敬ってくれよ?」
夢子「貴方の言動は意味が分からないわ…。一体なんなの?!」
アルフレ「君も物分かり悪いね。そういうとこ黒と似てる。」
夢子「ダークにぃ…!!そうよ…ダークにぃが助けに来てくれるわ‥!」
アルフレ「ああ、残念だけど彼なら助けには来ないよ。今別の任務遂行中だから。
     僕の創り出したこの小さい世界には君と僕のふたりだけ。
     誰にも邪魔されない。救いなんて、望んでも皆無だよ。」
夢子「…貴方には何言っても無駄なのね…。」
アルフレ「君たちって僕以上に意味わからないと思うんだけど。」
夢子「…どういうこと?」
アルフレ「黒も元の世界で君と普通に過ごしてたんだろ?
     その時から手だすべきだったんだよ。
     この世界に来てからも控えめで…
     そんなのんびりしてるからルフレに君を奪われるんだ。
     黒、彼はほんと間抜けだね。」
夢子「だって私たちは兄弟として育てられたのよ?
      当たり前の結果じゃない。」
アルフレ「僕なら兄弟だろうがなんだろうが
     好きな物があったら全力で奪うよ。
     そうしないと欲が埋まらないじゃないか。
     ずっと目の前の美味しそうな獲物を涎垂らして指咥えて見るだけなんて、ありえない。」
夢子「それは貴方だけよ…。」
アルフレ「その点沙羅は優秀だよね。彼女は自分の本来の気持ちを出せてる。
      欲しいモノを全力で奪おうとしてる。」
夢子「彼女は瘴気を影響でおかしくなってるだけよ‥!」
アルフレ「本当に…そうかな?」
夢子「え?どういう意味?」






アルフレ「ー・・・彼女は元の世界に居た時から君の事殺したかったんじゃない?」





夢子「・・・な・・・!!!」




アルフレ「だって、それしか考えられないじゃないか。
     確かに邪竜の力は人格を狂わす副作用がある。
     でもね…それだけではここまで憎しみが増幅しないよ?」
夢子「それは貴方達クレイジー側の人間が何かを―…」
アルフレ「まあ、少しは叩いたりしたけど、そんなんで此処までにはならないでしょ。
     君は最初から沙羅に嫌われてたんだ。」
夢子「やめて…!」
アルフレ「君をずっと憎んでて…いつ後ろから包丁でブスりと刺そうか…」



夢子「やめて!」



夢子は泣いていた。震えて涙を流す。
アルフレは興奮する。




アルフレ「ああ、夢子…君のその涙、どんな宝石より輝いているよ?」
夢子「もう…嫌だ…。」
アルフレ「そうだ、その涙で濡れた顔で笑って見せて?」
夢子「…!?」
アルフレは夢子を顔を両手で掴むと自分の顔に近づける。

アルフレ「さあ、笑うんだ。」
夢子「い…嫌…」
アルフレ「ルフレにいつも笑いかけてるように、笑って見せてよ。」
夢子「やめて…」
アルフレ「笑わないとキスするよ?」
夢子「‥‥!!!」
アルフレ「君はどっちがいいんだい?涙で濡れた顔で笑って見せるのと
     君の口に僕の舌が入るの。さあ、どっち?」






夢子は笑った。
涙が止まらない。
恐怖、悔しさ、憎しみ…憎悪の涙。



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