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【口づけで目覚めたときは花のような笑顔を向けて?《白雪姫》・弐】
シュルクは目を覚ました。
苦しい。
肺に少し海水が入っている。
起き上がりゲホゲホとそれを吐く。
シュルク「…そっか、あの変な竜巻が来て…」
すると、左手に感触がある。
夢子だ。
シュルクは意識を失った後も夢子の手を放していなかった。
シュルク「夢子さん!」
すぐに彼女を揺さぶる。
・・・。
返事はない。
夢子の顔は青白くなっていた。
すぐに夢子の胸に耳をあて心音を聞くシュルク。
手の脈も測る。
・・・。
シュルク「だめだ…何処も反応が無い…機能が停止している…。」
辺りを見回す。
どうやら小さい島に打ち上げられたようだ。
シュルクはモナドを召喚する。
いつものように未来視を見ようとするが…
シュルク「…見えない…なんで…!?」
あまりの自分の無能さに嘆くシュルク。
兎に角夢子の事だけを考える。
シュルク「死なせやしない‥‥!」
シュルクは大きく息を吸って…
夢子の唇に自分の唇を重ねた。
そして思い切り息を吹き込む。
そして胸に両手を当て心臓マッサージをする。
何度も何度もそれを繰り返した。
最初は抵抗があったシュルクだったが今はそんな恥など捨てた。
シュルク「…絶対…死なせない…!」
何時間も同じことを繰り返した。
辺りはもう暗くなっていた。
シュルクは涙を流しながら息を一向に息を吹き返さない夢子を見つめた。
シュルク「なんでこんな事に…。」
シュルクは腕で涙を拭うと動かない夢子を抱きかかえ歩き始めた。
すぐ目の前に大きなヤシの木があった。
その葉っぱを拾い砂浜に敷いてその上に夢子を寝かせる。
そして隣に崩れるように座るシュルク。
夢子の顔を再び見つめる。
シュルク「貴女に出会って、世界が変わって…恋をした。
貴女の声も髪も…笑顔も…全て大好きです。
片思いなのはわかってる‥‥
でも僕は諦めない‥‥絶対に気持ちは伝わるんだって…
もしも貴女がこのまま目覚めないのなら
僕も一緒に‥逝けないかな?
…同じ場所には行けませんね。
きっと僕が落ちるのは地獄だろう。
だって貴女を殺したようなものだからー…」
夢子「‥そんな事ない…よ…。」
シュルクは目を疑った。
自分に掛けられた声。
愛しくて大好きなあの夢子の声。
シュルク「…僕は天国にいけたのかな?」
夢子「何言ってるの?私たち…まだ生きてるよ?」
声のする方振り向くとそこには夢子がいた。
ちゃんと息をしている。
夢子の瞳には絶望していたシュルクの顔が写っていた。
シュルク「夢子さん…!?」
夢子「シュルクが一生懸命頑張ってくれたのよね?…私分かるよ。」
シュルクは泣きながら夢子を抱きしめた。
夢子の頬にも涙が伝う。
シュルク「夢子さん‥‥まだこんなに冷たいじゃないですか…!」
夢子「私ってつくづく泳ぐの下手なんだね。」
シュルク「泳ぎ方なら僕がいつでも教えますよ。」
夢子「うん…!」
シュルク「だから…ずっと僕の側で笑っててください…これからもずっと…ずっと…。」
夢子「そうね、約束しよう!」
夢子は小指を差し出す。
その冷たい小指をシュルクの小指が繋いだ。
シュルク「最後に…もう一度だけ、キスをしていいですか?」
二人の影が重なる。
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