【ファイル集】(ガンサバ1)


『教会のマネージャーの日記』

10月7日 今日私を含むこの街の各セクションの担当責任者 全員が司令官に呼び出され 先日のアメリカ・ラクーンシティ崩壊の一件につ いての報告を受けた。

会議ではGウィルスを我が手中に納めんがために 裏切った ウィリアム・バーキンに対しての非難が集まった 。
司令官は我々に対しバーキンのような裏切り者が この街に存在するならば ソイツを容赦なく殺してもいいと命じられた。

司令官の命令はもっともだと私は感じる。
この街はアンブレラ本社にとってラクーンシティ の研究所同様、 いやそれ以上の最重要施設のはずである。
決して バイオハザードを起こしてはならない。

ひとたびバイオハザードが起これば、何十億ドル もの巨額を投じてこの街全体を買い取り、 施設を建造したこと全てが無駄になってしまう。
今後は今以上に社員たちの動向に目を光らせる必 要がある。




『レストラン支配人の日記』

とんでもない話を聞いた。
先週アメリカのラクーンシティって名の小さな街 が突如崩壊したそうだ。
何でも住民はみんな化け物になっちまって人っ子 一人生き残りはいないらしい。

その事件はアンブレラ製薬が関わっているって話 だが詳しいことはよく分からない。
海の向こうの話とはいえアンブレラが関わってい るとなりゃ只事じゃねぇ気がする…。
この街に何事もなければいいのだが…。

今日聞いた話じゃラクーンシティを壊滅させたの はウィリアム・バーキンって野郎なんだと。
奴は自分が作ったTやらGやらいうウィルスを一人 占めしようとして アンブレラ本社とウィルスの奪い合いをしてたん だ。

その時なぜか奴は自分の体にウィルスを投与して 化け物になっちまい、 ついでに下水に漏れたウィルスがドブねずみを介 して街全体に広がったって話だ。

どうする?
昼飯を食いに来たアンブレラ社員の客が例のTウ ィルスがこの街にもあると話していたんだ。
ソイツはここでは事故なんて絶対起きないって笑 っていたが万が一って事もある。

破格のギャラに釣られてアンブレラに雇われた俺 だがこのヘンピな街で アンブレラの社員相手だけに商売するのもそろそ ろ飽きてきたところだ。
万が一が起きる前にこの街から逃げ出す時が来た のかもしれない。




『ラクーンシティ崩壊後レポート』

1998年8月5日

U.B.C.S.調査隊員からの報告書1

5月11日に発生した生物兵器研究所、及びスペン サー卿の洋館におけるバイオハザードは、 S.T.A.R.S.アルファチームのジル・バレンタイン、ク リス・レッドフィールドらが 7月25日に施設を爆破する形で一応の終結を見た 。

8月5日今現在Tウィルスの周辺への漏洩は確認で きず。
しかし更に注意は要するものと思われる。
未確認 ながら、わが社の元社員である S.T.A.R.S.アルファチームリーダー・アルバート・ウ ェスカーは死亡したと思われる。

ジル・バレンタインとクリス・レッドフィールド が、今回の一件をマスコミ関係者 および警察関係者に広く公表する準備を進めてい るらしいとの情報を入手した。
この件に関しては本社の迅速なる政治的処置を望 む。

U.B.C.S.隊員ニコライ・ジノビエフ

1998年9月30日

U.B.C.S.調査隊員からの報告書2

私は今ラクーンシティの一角にある時計塔にいる 。
街は既にゾンビ達に占領され、 ラクーンシティはバイオハザードにより完全に壊 滅したといっても過言ではない。

だが今回は、洋館での偶発的なバイオハザードと は異なり、 わが社の研究員であり、TウィルスとGウィルスの 発明者であるウィリアム・バーキン博士の 謀反による人為的事故の疑いが強いようだ。

今回の2つのバイオハザードを調査した結果、私が 強く感じたことは、 全世界に散らばるわが社の施設におけるウィルス の管理体制を強化すること、 社員に対する再教育を徹底すること、この2つで ある。

生物兵器ウィルスは将来わが社の主軸となる貴重 な商品となるものである。
今後、二度とバイオハザードが発生しないよう、 全社員心してかかって欲しい。

U.B.C.S.隊員ニコライ・ジノビエフ

1998年10月6日

ラクーンシティのバイオハザードにおける、 Tウィルスの感染データ及びB.O.W.との対戦データ の収集は困難を極めた。

特にタイラントを改造した、我々が「追跡者」と 呼ぶ新種B.O.W.の実戦データ収集に関しては、 こちらが想像する以上にターゲットが狂暴であり 知的頭脳を有していたため、 我々が派遣したU.B.C.S.隊員達にも相当の犠牲を強 いられた。

研究者諸君においては今回の実戦データを分析す ることで、 更なる進化した究極のB.O.W.を開発されることを 切に願う。

アンブレラB.O.W.開発チーム




『患者のカルテ』

名前:スミス・J・ウィリアムズ
性別:男
年齢:17歳
身長:181cm
体重:72kg
健康状態:良好
精神状態:無気力
投薬:
毎朝食時:精神安定剤トランキライザー10 mg粉末をスープに混入。
毎夕食時:睡眠薬ハルシオン5mg混入のパ ンを与えること。

名前:ジェニファー・キャンベル
性別:女
年齢:18歳
身長:165cm
体重:47kg
健康状態:良好
精神状態:不安定
投薬:長期にわたる隔離生活の為かなり猜疑心が 強く 他のもの達のように食事に精神安定剤を混入する 方法は効果がない。(食事を残すため)
よって飲料水に精神安定剤を溶かして飲ませる方 法が最良と思われる。

INVARID

名前:リョウジ・ヨコタ
性別:男
年齢:18歳
身長:177cm
体重:59kg
健康状態:MRI検査の結果小脳に静脈癌あり。商 品価値なし。

名前:カレリーナ・アルバチャコフ
性別:女
年齢:17歳
身長:155cm
体重:43kg
健康状態:良好
精神状態:良好
投薬:
毎朝食事:精神安定剤トランキライザー10 mg粉末をスープに混入。




『アンブレラ極秘ファイル』

アンブレラ社極秘資料 関係者以外の閲覧を禁ず

このファイルは1998年5月11日を発端とする アメリカ・アークレイ研究所において発生した”T ウィルス”の流出事故及び その約4ヶ月後ラクーンシティにおいて発生した大 規模なバイオハザードによって 誕生したウィルス感染による新種の生命体・B.O.W .のデータである。

なお未確認ながらここに記した以外にもB.O.W.は 複数存在していたと思われる。
それらについてはデータが揃い次第ファイルに記 載するものとする。


B.O.W.ファイル1[ゾンビ]

Tウィルスを感染させた人間。
人間としての理性を 失い本能、 特に食欲に突き動かされ常に人肉を求めて彷徨い 歩く。

対処法:動きは遅いので離れた場所からの狙撃に より簡単に倒す事ができる。


B.O.W.ファイル2[ケルベロス]

Tウィルスを感染させた犬。
人間のゾンビに比べ肉体の腐食化はあまり進んで いないので俊敏な動きで襲ってくる。
物音に敏感で走る音を聞きつけて遠くから襲いか かってくる事がある。

対処法:ハンドガンで十分対処できるモンスター ではあるが動きが速く照準を合わせる事が困難で ある。


B.O.W.ファイル3[リッカー]

ゾンビとなった人間が更にTウィルスに侵食され突 然変異を起こし生まれた。
変形に伴い四足歩行や脳の露出という際立った特 徴を持つに至る。
ゾンビに比べ瞬発力が飛躍的に向上し視覚器官を 持たない代りに聴覚が異常発達している。

対処法:音に反応し襲ってくるので、銃攻撃での 攻撃は注意を要する。
また、足音にも敏感に反応するので無闇に走ると 危険である。


B.O.W.ファイル4[イビー]

植物をベースにしたB.O.W.。
体表から水蒸気を摂 取することで自立歩行を可能にした。
ムチのような触手攻撃に注意されたし。

対処法:火に弱いので、火炎弾を装填したグレネ ードランチャーが有効。


B.O.W.ファイル5[ハンター]

人間をTウィルスでDNA操作して作り上げたB.O.W. 。
特に下半身の筋力が高められており、高くジャン プして攻撃をしかけてくる。

対処法:獲物に飛びかかる直前に一瞬ではあるが その俊敏な動きが止まる瞬間がある。
そこを狙って攻撃するのが最良だろう。


B.O.W.ファイル6[タイラント]

わが社が総力をあげて創りあげたTウィルスB.O.W. の究極形態。
更にタイラントをベースに、より凶暴化させた通 称「タイラント改」 および知的生物を寄生させた通称「追跡者」がヨ ーロッパ支部で開発された。

対処法:この強靭な防御力と破壊力に対しては何 の手立ても無いに等しい。


B.O.W.ファイル7[ ]

まだ完成には至っていないが、理論上はタイラン トの遺伝子培養時に、 ある物質を投与することで、更に凶暴なるB.O.W. を大量に生産することが可能である。
しかし問題は…。




『管理人アンディの日記』

嫌な噂を聞いた。赴任してきたビンセント司令官 の奴、 工場の連中に命令して、毎日、世界中から連れて きた若者達に残虐な行為をしているらしい。

元々あの若者達が何の為にこの街に連れてこられ たのか、 その理由自体知らされていない俺だが、あまり気 持ちのいい話じゃねえな…。
まあ、この俺にそのとばっちりがこなければ何の 問題もねえのだが…。

10月10日
昨日の夜、上で何か大きな事件が起きたらしい。
詳しい事は知らないが、ビンセント司令官がまた 何か残虐なことをしでかしたっていう話だ。

11月9日
今日、とうとうビンセント司令官がここへ視察に やってきた。
たわいもない世間話をしただけだったが見るから に残忍そうな奴で、 記念に1枚ってノリで写真を1枚撮ってやったら、 すごく怒りやがった。
噂どおりの嫌な奴だった。




『刑務所長の日記』

10月20日
本日、アンブレラ本社から先日報告書として提出 した 原材料20体の集団自殺事件についての返答が返っ てきた。

本社は今回の事件について何も疑っていないのか 、 すぐさま世界各地から次なる原材料を供給する予 定であるとの返答だった。

私は今更ながらビンセント司令官に命じられるま ま、 あの集団脱獄事件を集団自殺として虚偽の報告を してしまった事を後悔している。

だがこの街にいる限りビンセント司令官を敵に回 すことは死を意味する。
私はあの夜、集団脱獄を謀った若者たち全員を虫 けらを殺すがごとく 射殺する時のビンセント司令官のあの残酷な微笑 みが忘れられない。

ビンセント司令官は噂どおり血も涙もない冷酷無 比な男だった。
彼は殺人鬼だ。
本来なら私は真実を本社に報告すべき立場にいる 。
だが私は怖い。ビンセント司令官が。
私は一体ど うしたらいいのか…。




『投獄された若者の日記』

9月5日
コンゴの街角であの黒ずくめの男達に拉致されこ の街に連れてこられて今日で16日が過ぎた。
ここに来た時には何がなんだか分からなかったが 、 次第にこの街のカラクリが見えてきた。
どうやら 俺達はアンブレラっていう製薬会社の 人体実験のモルモットとしてこの街に監禁されて いるようだ。

街の連中は全員アンブレラの社員ばかりで女子供 もみんなその家族だ。
モルモットは世界中から集められているようだ。
隣の部屋のヤツは中国、向かいはブラジル、他に もロシア、日本… 万国博覧会ってカンジだが奇妙なことに俺と同年 代ばかりで下は16上は19か20だ。

アンブレラの奴らは俺達を街のゲームセンターや クラブに時々監視つきで連れて行き ストレスを発散させようなんて姑息なことをする がそんなものでは騙されない。
絶対にこの街を脱走してやる。とにかく今は仲間 を集めるんだ。


9月21日
助けてくれ!
今日もまた仲間が一人、隣部屋の陳 が、山の上の工場に連れて行かれた。
恐らく陳は戻ってこないだろう。
先週いなくなったアンナやジェイコブと同じ運命 を辿るに違いない。

俺は知っている。山の上の工場に運ばれた俺達の 仲間が辿る運命を。
この街のビンセントという司令官の命令で工場の 奴らは、 俺達の脳を切り裂いて、何とかっていう脳内物質 を抽出しているんだ。

昨日俺がクラブに連れて行かれたとき、工場の奴 らが俺達が来ていることを知らずに、 話しているのを聞いてしまった。
ビンセントは悪 魔だ。
いやビンセントだけじゃない。
この街の女子供ですら俺達を人間としてではなく モルモットとしてしか見ていない。

この街の連中、みんな悪魔だ。
ここにいたら間違 いなく殺される。
脱走計画を早く実行しなければ!


10月9日
チャンス到来。
この一週間、街のアンブレラの奴 らが浮き足立っている。
噂ではアメリカのどこかのアンブレラのの研究所 で大事故が起こったらしい。
看守の奴らもその情報収集に明け暮れていて、俺 達の監視が手薄になっている。

ストイコビッチとエンリケは看守から鍵を盗む役 、俺とサンコンは陽動部隊、 ヨシカワとフェリペは武器調達の責任者だ。


10月10日
脱走経路が決定。決行は今夜11時。
総勢20名をA 班とB班に分けて行動。
A班は地下の監禁室の通風孔から下水道へ、 B班は監視塔からロープを使って市街地の路地へ脱 出する。

ロープは俺達を縛っているもので十分だ。
もし失敗したら間違いなくビンセントに殺される 。
だがここにいてもいつかビンセントの命令で俺達 の頭蓋骨は切り開かれるだろう。
同じ殺されるのなら行動を起こすべきだ。




『司令官ビンセントの日記』

10月11日
昨夜、刑務所に監禁していた原材料どもが集団で 脱走、銃器を奪って暴動を引き起こした。
事件に関わった愚かな原材料どもはこの俺が全員 射殺してやったが、 この1件がアンブレラ本部に知れるのは非常にま ずい。

この街での功績を土産に本社に戻る計画が台無し になってしまう。
一応刑務所長には、集団自殺として処理するよう に命令したが、 他の者たちにも口止めをしなければ…。


11月8日
日頃俺のやり方に反発していた街の連中が、 俺を本社上層部に提訴しようと密かに証拠集めを 始めている。
昨日ロットの奴がこの街にスパイが潜入している ことを知らせてくれたが、 そいつも街の連中と関係があるのかもしれない。

しばらく泳がせて、背後関係と目的を調べ上げた 上で始末してやる。
それにしてもこの街で俺が唯一信頼できるヤツが チビのロットだけだとは。
なんとも悲しいものだ。


11月19日
街の連中め、来週新たに原材料を連れてやってく る本社の人間達に 俺の告発状を渡す準備を進めているらしい。

何か証拠も押さえてるって話だ。
そんなことは絶対にさせない。
そしてこのまま街 の連中を許すわけにはいかない。
俺に逆らえばどうなるのか教えてやらなければ… 。


11月22日
俺を怒らすとどうなるのか思い知らせてやった。
Tウィルスを街中にばらまいてやったのだ。
もちろん事故に偽装してある。
今ごろ街は壊滅状 態になっているだろう。
これで堂々と俺は工場での成果を土産にアンブレ ラ本社に帰ることができるわけだ。

私に逆らう愚か者は誰もいなくなった……。
いや一人だけ残っている。奴だ。
この街に潜り込んだネズミを始末しなければ。




『ビンセントの盗聴記録』

ビンセント司令官の横暴には、これ以上黙ってお くわけにはいかない。
奴を失脚させるには、決定的な証拠を掴み、本社 の上層部に報告するしかない。

だが、奴はなかなか尻尾を掴ませないのだ。
そこで我々は、少々危険ではあるが奴の電話を盗 聴し記録することにした。
そして遂に奴を失脚させるのに十分な証拠を手に 入れたのだ。

この盗聴記録には、奴が先月の集団脱獄事件にお いて若者たち全員を射殺し、 更にその事実を隠蔽したことも録音されている。

更に、奴がこの街に赴任する前に出世の為に同僚 を殺した事実も録音されている。
この盗聴記録を来週この街にやってくる本社の人 間に渡すことが出来れば、奴は間違いなく失脚す る。
これでこの街にも平穏な日々が訪れるだろう。




『ロットの日記』

9月10日
今日、けいむしょにかんきんされている人をゲー ムセンターで見かけた。
やつらときたらみんなうつろな目をしてよだれを 垂らしている女もいた。
反対にはんこう的な目でこっちをにらんでた奴も いた。

みんな着ている服はボロボロで、体からくさった 匂いがしてた。
パパやビンセント司令官が言うとおり、 やつらはボクたちアンブレラの人間とは違うおろ かな人種なんだってよく分かった。

パパたちは、あいつらをまともな人間にしてあげ るために、 この島に連れてきてしゅじゅつして治してあげる んだって言ってたけど、そのとおりだと思う。
早く治してあげたほうがいいよね。


10月15日
ビンセント司令官が、集団だつごくした人たちを 殺したんだって。
どうしてこんなことになっちゃったの?
確かにあの人たちは、ボクたちよりおとってるけ ど、殺すことはなかったはず。

どうして?
ボクの信じていたものって何だったの ?
アンブレラやパパたちは、おろかな奴らをしゅじ ゅつして治してあげるはずじゃなかったの?
どうして殺しちゃったの?


11月23日
街中がパニックになってる!
あちこち化け物が現 れて、人をおそってるんだ!
昨日までボクに優しかったアンブレラのおじさん たちがボクを襲おうとしたんだ。
誰か、誰か助けて!


11月24日
パパもママも化け物になっちゃった。
ビンセント司令官が街の人たちを化け物に変えた って生き残ってた人が言ってた。
もう、誰も頼りになる大人はいない…。

こうなったら、ボク一人だけでも生き残って、妹 のリリィだけは何としても助けなくっちゃ!
そして二人でこの街を脱出するんだ。




『工場職員の日記』

1998年8月5日

もうたくさんだ!
毎日毎日、何の罪もない若者た ちを手術台に縛り付け、 麻酔もかけず頭蓋骨を切開し、脳の一部を切り取 る作業の繰り返し…… 。
ベットに潜った後も彼らの泣き叫ぶ声、悲鳴、断 末魔の叫びが耳の奥に残って消えない。

ビンセント司令官は、常々 「彼らを人間と思うな。彼らはあくまでもタイラ ントを作り出すための原材料にすぎないのだ」 と冷たく言う。

だが実際に彼らの頭蓋骨にメスを入れる俺達はど うしてもそんな風に思えない。
彼らは紛れもなく俺達と同じ人間だ。
せめて麻酔をかけて手術させてくれと何度もビン セント司令官に懇願したが、 それでは純度の高いβヘテロ・ノンセロトニンが 抽出できないと却下されてしまった。

いくら会社の命令とはいえ、俺達のやっているこ とは倫理的に許されるものではない… 。
俺達は間違いなく死んだら地獄に落ちるだろう。
いや……もうこの現実そのものが地獄なのかもしれ ない。




『原材料の抽出方法』

原材料 βヘテロ・ノンセロトニンの抽出方法につ いて

タイラントの大量生産体制を確立するためには、 遺伝子培養の際に大量の純度の高いβヘテロ・ノ ンセロトニンを注入することが不可欠である。

この物質は人体の脳内物質の一部で第2次性徴期 後期の若者達(16歳から19歳の健康体)の 脳下垂体から最も多く分泌される物質であること が調査により判明している。

更にこの物質は脳幹の青斑核で作られるノルアド レナリンの過剰分泌に 反応することが医学データにより明らかにされた 。

ノルアドレナリンは、人間を極度の緊張状態・恐 怖状態においた時に分泌される脳内物質である。
βヘテロ・ノンセロトニンは活性化細胞の中でし か存在しない物質の為、 脳死状態の人体からは抽出できない。
よって原材 料となる若者達を麻酔もかけずに 生きたまま頭蓋骨を開き殺される恐怖と激痛によ るノルアドレナリンの過剰分泌を促した上で、 脳下垂体を切除することが最良の抽出方法である 。

シーナ島タイラントプラント司令官 ビンセント・ゴールドマン




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