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待ち合い室、被疑者確認室、検死室、犬舎、留置所の五ヶ所に散らばっていたプレートをホールにある女神像の台座に嵌め込むと、女神像の部分に探していた換気用のトンネルが現れた。
かなり小さい為、体格のよいマークはおろかケビンとマービンでも入れない。
ここに入って行けるのは、小柄なリタかヨーコ位しかこの場にはいない。
一般市民であるヨーコを危険に晒させる訳にもいかないので、当然の如く救援を呼びに行くのはリタの役目となった。
必ず救援を呼んで来るからと、リタは暗く狭いトンネルの中を進んで行く。
それを見送っていると、マービンから署内の武器をかき集めてくる様に頼まれた。
「……救援が来る時には正門を開けなくてはならない筈だ。
少なくとも………その時に大量のゾンビ達が押し寄せて来る。
いや、正門自体がいつ破られるか分からん……。
戦う為の武器は少しでも多い方がいい。」
マービンの意見には全面的に賛成だ。
脳裏に門を叩き壊そうとばかりに押し寄せるゾンビ達が浮かぶ。
あの門は頑丈だし、ちょっとやそっとではびくともしないが、相手が際限無く押し寄せるゾンビ達だと、圧倒的な物量を前にして何時まで持つのか分からない。
「ああ、………そう、だな。
……実際の所、リタが戻ってくるまであの門が持つとは思えねぇしな……。」
ケビンが賛成すると、マービンが心配そうに見詰めてきた。
「……ケビン……大丈夫か?
……かなり無理をしている様だが……。」
「……それはお互い様だろ?マービン。
そっちこそ……無理をしてるんじゃないか?」
署内のゾンビ達はケビンの同僚であった者達だが、それはマービンにとっても同じ。
いや、マービンは彼等がゾンビと化していく所も見ていたのだ。
その辛さは……想像するだに筆舌に尽くし難い。
ケビンが無理をしてるというのなら、マービンとて同じだと言える。
「まあ、な。…………。」
「まっ、心配するな。
俺にはまだ守らなきゃならない奴等がいる。
こんな所でくたばったりなんかしねぇよ。」
ケビンには非力なヨーコと負傷して満足に戦えないマークがいるのだ。
ケビンにはそんな彼等を守り抜く義務がある。
勝手にこんな所で死ぬわけにはいかない。
「そう、か。なら、いい。
………俺は正門を見張っておく。
後……武器を集めるついでに、アーロンとフレッド、トニーの様子を見に行ってくれないか?
先程から連絡が取れなくなっている。
通信機の調子が悪いからかも知れないが、妙な胸騒ぎがするんだ。」
そうマービンに言われて、ケビンは先程から彼等の姿を見ていない事に気付く。
「アーロンなら非常階段の所でゾンビ達の侵入を防いでいた筈だし、フレッドは屋上、トニーは……犬達の様子を見に行ったんだよな?」
確か最後に会った時に、トニーは犬達が心配だから犬舎に行くと言っていた。
フレッドは屋上でカラス達の侵入を防いでいたし、アーロンは非常階段の所で金網を乗り越え様とするゾンビ達を迎撃していた。
マービンに言われ彼等の事を考えると、確かに……妙な胸騒ぎがする。
「分かった………任せとけ。俺が連れてきてやるよ。」
この胸騒ぎがただの杞憂でありますように、そう祈らずにはいられない。