世界を変える願い事







後三分でこんな怪物の巣窟から脱出出来るっ!という待ち望んだ展開も、リンとケビンの事を考えるとあまり手放しでは喜べない。
と、いうよりもヨーコの手前、喜んではいけないだろう。
いくら周りから『空気が読めない』だの『一言多い』だの言われ続けてきたジムであっても、それくらいは弁えている。



ジム自身、二人の事は心配だ。
ケビンは勿論の事、リンの事もである。
何となくリンなら絶対間に合う気はするので心配なんて必要は無さそうだけど、心配したってダメって訳でも無いのだし、いいだろう。



リンの場合、ちゃんと間に合っても何かしら負傷してしまっている気がするのだ。


リンには怪我して欲しく無い。
別に、それはリンがゾンビとかとガンガン戦ってくれたらジムが戦う必要はあまり無くなるから、という訳ではない。
…………まぁ、それを全く思ってない訳でも無いのだけれど。


まだちょっと苦手だし、何を考えているのかイマイチ分からない。
それでも、リンはスッゴく優しくってイイ奴だからだ。
何せあんな事をしたジムを、普通に赦してくれたのだ。
こんな事を言うと現金な奴かと思われるかも知れないが、そういったリンの行動の一つ一つから、ジムにとって、リンは好ましい人間に見えてきたのだ。
それでも、ジムの好みはリンではなくヨーコだが。


それによく考えてみれば、リンはまだ高校生。
今は離れて暮らしているジムの弟や妹達とそう変わらない年頃の女の子なのだ。
そう思うと、リンは本当は守ってあげなくちゃいけない子なんだよなぁ、と思う。
実際は守られてばかりであるのだけど。


そんな訳で、リンには無事に帰って来て欲しいのだ。




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