★ メインシャフトまで戻ると、ケビンとジムが待っていた。 ジムは何処か罰が悪そうに、凜から目を少し逸らした後。 『リン!無事だったんだね……!…あのさ、助けてくれたのに、助けに行けなくてゴメン!!』 と、凜に頭を下げてきた。 「なっ……ジム……?……どうしたんだ……?」 ジムが何に関して謝っているのか何となくは分かるのだが、その理由が分からない。 自分を助けに行かなかった位で頭まで下げるものなのだろうか? ジムが臆病者なのは元々知っているのだから、彼が助けに来てくれる等とは端から期待すらしていなかったのだ。 大体、ジムを庇ったのは自分が勝手にやっただけの事なのだから。 その結果死にかけた気がするが、それは自己責任の範囲だろう。 アメリカ人は余程の事がない限り絶対に謝らない、と(間違った)認識をしている凜にとって、ジムの謝罪は予想外以外の何物でもない。 更には自分で言うのも何だが、凜はジムには好かれてはない自覚はあるのだ。 それ故尚更、ジムの謝罪は不可解であった。 「ジム……そんなに謝らなくても……。 べつに、私は気にして無いからな…?」 非常に居心地が悪い。 寧ろ止めて欲しい。 凜が困惑しながら身振り手振りでジムに伝えると、察してくれたのかジムの表情が明るくなった。 『マジで許してくれるんだねっ!?よかったー!』 ジムは嬉しそうに凜の手を握り、ぶんぶんと振り回した。 そして。 『ほらっ、リンって女の子に見えない位怪力じゃん! 怒って殴られたりしたらオレ死んじゃうなぁーって心配してたんだよ!』 と、続ける。 瞬間、周りの空気が凍り付いたかの様に凜は感じた。 ケビンが呆れた様に額に手を当て、デビットは無言でジムを睨む。 ヨーコはと言うと、唖然としてジムを見ていた。 (………?………ジムが……何か要らない事でも言ったのか……?) 凜には、ジムが何と言ったのか分からないが………。 ヨーコ達の反応を見ている限りでは、そうなのであろうか? 『リン』の部分だけは聞き取れたので、自分に関して何かを言ったのだろうとは思うのだが……。 ジムが何の悪気も無さそうに笑っている所を見ると、何かの悪意を持って言ったのでは無さそうだ。 何て言われたのか分かって無いのだから、あまり気にしなくともいいだろう。 今はここから脱出するのが最優先である。 それにはまず、ターンテーブルの氷結を溶かす為にも空調を何とかしなくては。 |