世界を変える願い事







『…ケビンはさ、……ヨーコの後を追いかけなくても良かったの……?』


脱出手段を探す為、ターンテーブルへ向かうなか、ジムがポツリと訊ねた。


『……デビットが行った…からな……。
…お前を一人にする訳にもいかないだろ?』


ヨーコの後を追いたかったのは確かだが、ジムもまたケビンが守るべき一般人だ。
ヨーコの事は心配だが、彼女の身はデビットが守ってくれるに違いない。
ケビンはデビットが戦っている所を見たことがある訳ではないが、その身のこなしからかなり戦えそうだとは判断していた。


『なあ、ケビン……。オレって最低な奴かなぁ……。』

『急にどうした。』

『リンに庇ってもらってさ、……そのせいでリンが危険な目にあってるっていうのに………リンを助けに行こうって…思えないんだ。
リンの事……嫌いじゃない筈なのに……。』

『…別に…最低だとは思わないぜ。
少なくとも俺は、な。』


ジムの行動を良しとするつもりはないが、誰しもが勇猛果敢に危険に飛び込んでいける訳ではないことをケビンは重々知っている。
その事を是とはしないだけ、ジムは随分とましだ。


『リンが無事帰ってきたら、謝ればいいだろ。
何時までも落ち込んでいる暇は無いぜ。
こっから脱出しない事には何にも出来ないしな。』

『そうだね。…何時までも落ち込んでいるなんてオレらしくないねっ!
よーし、ここは一つジム様の大活躍でリンの度胆を抜いてやろうっ!』


ジムはそう言って自分に気合いを入れるなり走っていく。


『………まっ、いいか。元気になったなら何よりだ。』






ターンテーブルには予想はついていたがゾンビが待ち構えていた。
ケビンが落ち着いて撃ち倒していると、ジムが何かを見付けたようでケビンを呼んだ。


『オーイ、ケビン!これってここの鍵じゃないかな?これを使えばこのターンテーブルが動くと思うよ。多分こいつがここの操作盤だね。……あれ?』
ジムが嬉々として操作盤に鍵を挿そうとするが、戸惑ったように声をあげる。


『ジム、どうした!』

『あー……鍵穴が凍り付いてて鍵が刺さんない……。……これを溶かさなきゃダメみたいだ。』




………脱出にはまだ遠いようだ。




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