★ ドサッと固い床に投げ出された衝撃で、凜は意識を取り戻した。 (ここは………。) 何かの巨大な繭が目の前に見え、周囲の壁には何だか高価そうなコンピューターがずらりと並んでいる。 直ぐ様この光景から自分の現在位置に気が付く。 (うっ………ここは……電算室、か……。) モスジャイアントの姿はない。凜をここに放逐した後何処かへと去って行ったのだろう。 この場に居ないのならその方が有り難い。 (早く…ヨーコ達の所へ戻らなくては。) 立ち上がると、身体が妙に熱く視界がフラフラと揺れた。 ……ひどい目眩もする。気分が悪い。 (何……だ……?……まさ…か…毒…を……?) 熱の為か定まらない思考で凜は考える。 そうだ…モスジャイアントに電算室に拐われてきた場合は、毒を受けているのだ。 熱でふらつく身体で、部屋の隅に生えているブルーハーブとグリーンハーブを採る。 ハーブの調合の仕方なんて分からないが、直接食べたって大丈夫なはずだ。効果はあるだろう。 (早…く……ヨー…コ…達の……所…へ…帰ら…な…いと。) フラフラと電算室を出ると、天井からモスジャイアントの幼虫がドサドサと落ちてきた。 幼虫達は毒液を吹き掛けようと、鎌首をもたげる。 「邪魔……だ……。」 凜は一匹残らず踏み潰し、幼虫は気味の悪い体液を節々から流して息絶えて行く。 電算室前のシャッターは、先程セキュリティーセンターで開放済みだ。 (早…く…。) だが、焦る凜の行く手を、巨大なシャッターが阻んだ。 (くそ……これ…は……シャッターの…向こうの……端末…で開けるやつ…か…。) 近くに開放させる為の端末は無いのか、と探すと、シャッターの脇にひっそりと隠されているかの様に端末があった。 (これ…で。) 端末を操作してシャッターがゆっくりと開放されていくのを見ながら、凜の意識は急速に薄れる。 (ヤバ……い。この……まま……じゃ……。……ヨ……ーコ…。 ……部…長…、…ハ…ル……助……け……) 再び気を喪った凜は、シャッターにもたれかかる様に崩れ落ち、床に倒れ伏した。 |