![]() ★ そう言えばさっきからデビットの姿が見えない。 何となく嫌な予感がする。 「デビット?デビット!デビット!!」 呼んでも返事が返ってこない。 デビットの事だから、無視しているのだろうか? いや、幾ら何でもこんなに名前を連呼しているのだ。 さしものデビットでも、『No!』とか何とか返してくる筈だ。 『デビットなら、先に行っちまったが。』 「ケビン?デビットの行方を知っているのか?」 「えっと…、デビットは先に行ったみたいよ……。」 ヨーコが気をきかせて通訳してくれたが、その内容は凜にとって剰りにも衝撃的だった。 (何だと!?) 嫌な予感が当たってしまった……! 《零下》のシナリオでは、序盤の方で必ず仲間の一人が別行動になる。 この場合はデビットがそれに当たるようだ。 ……彼が単独行動派なのは、ゲームの中で重々知っていた、分かっている積もりだった。 だが、まさかこんな状況で単独行動を取られるとは思ってもいなかった。 ゾンビが徘徊しB.O.Wが蠢くこの研究所を、単独で探索しよう等と誰が思うというのだ。 だがよく考えたら、デビット達はここに何がいるのかは知らないのだった。 「……………。」 「り、リン……?どうしたの……? ……怒っている…の?」 ………………。 デビットが行ってしまったのは、もうどうのしようもない。 凜に出来ることは、一刻も早くデビットと合流する事だけだ。 ………デビットが大体何処にいるのかは目星がついている。 恐らくはB6Fのセキュリティーセンターだ。 「…行こうヨーコ。デビットを追いかけないと……。」 グズグズしている内にデビットが負傷していたら、目も当てられなくなる。 (頼むから無事でいてくれ……!) 凜はデビットを追いかけるべく、搬送リフトの方へと走り出した。 ![]() |