世界を変える願い事







そう言えばさっきからデビットの姿が見えない。
何となく嫌な予感がする。


「デビット?デビット!デビット!!」


呼んでも返事が返ってこない。
デビットの事だから、無視しているのだろうか?
いや、幾ら何でもこんなに名前を連呼しているのだ。
さしものデビットでも、『No!』とか何とか返してくる筈だ。


『デビットなら、先に行っちまったが。』

「ケビン?デビットの行方を知っているのか?」

「えっと…、デビットは先に行ったみたいよ……。」


ヨーコが気をきかせて通訳してくれたが、その内容は凜にとって剰りにも衝撃的だった。




(何だと!?)

嫌な予感が当たってしまった……!



《零下》のシナリオでは、序盤の方で必ず仲間の一人が別行動になる。
この場合はデビットがそれに当たるようだ。

……彼が単独行動派なのは、ゲームの中で重々知っていた、分かっている積もりだった。
だが、まさかこんな状況で単独行動を取られるとは思ってもいなかった。

ゾンビが徘徊しB.O.Wが蠢くこの研究所を、単独で探索しよう等と誰が思うというのだ。

だがよく考えたら、デビット達はここに何がいるのかは知らないのだった。


「……………。」

「り、リン……?どうしたの……?
……怒っている…の?」


………………。
デビットが行ってしまったのは、もうどうのしようもない。
凜に出来ることは、一刻も早くデビットと合流する事だけだ。
………デビットが大体何処にいるのかは目星がついている。
恐らくはB6Fのセキュリティーセンターだ。



「…行こうヨーコ。デビットを追いかけないと……。」


グズグズしている内にデビットが負傷していたら、目も当てられなくなる。

(頼むから無事でいてくれ……!)

凜はデビットを追いかけるべく、搬送リフトの方へと走り出した。




3/37


戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -