![]() ★ ハルという少年はユイと同じ高校の後輩らしい。 リンとユイに続いて三人目の日本の高校生だ。 ラクーンシティには観光客もそれなりに来るけれど、日本人の……それも高校生のなんてかなり珍しい。 少なくとも、シンディが日本の高校生とラクーンシティで出会ったのは今日が初めてだった。 それなのに、こんな事態になってから三人も。 何かの偶然、なのだろうか……? 『ねぇ、もしかして……リンって女の子を知ってる? ユイやハルと同じく日本の高校生なのだけど…。』 そうシンディが訊ねると、ユイは驚いた様に顔を上げた。 『えっ……リンって……。 ……もしかして、その女の子ってかなり背が高い? えっと……ハルよりも?』 ユイに言われてハルを見ると……大体180センチをちょっと越えた位だろうか。 リンはケビンよりも高かったから……。 『えぇ、そうよ。とても背が高い子だったわ。 それにとっても強くって……私も助けて貰ったの。 残念ながら英語は殆ど分かって無かったみたいだったけどね。 そう言えば、リンはユイとハルが持っているのと同じリュックを持っていたわ。 もしかして、二人とリンは知り合いなの?』 そう答えると、ユイとハルは互いに顔を見合わせた。 『多分ね。……私達の仲間よ。』 『シンディさん……月代は…凜は何処に……? ここにはいない様ですが……。』 無表情にだが、ハルは心配そうにシンディに訊ねてきた。 『リンとは…逃げてくる途中で離れ離れになってしまったの。 でも安心して。リンは一人じゃ無いわ。 ケビンっていうちょっとだらしないけど頼りになるお巡りさんとも一緒よ。 他にも三人も一緒にいるわ、きっとリンは無事よ。』 それを訊いてユイは少しだけ安心した様に息をついたが、まだ心配そうに眉を寄せる。 「せめて連絡が取れたらいいのですが……。…無理そうですね…。」 「連絡………?………あっ!」 ユイは何かを思い出した様にリュックを肩から下ろして、中を漁る。 そして中から何かを取り出した。 「ねぇ、これって通信機なんじゃない?ハルのリュックには入ってる?」 「………あっ……有りました。……さっきは気付かなかったですが。」 ハルもユイに何かを言われて、ユイが持っている物と全く同じ物を取り出した。 「電源は……。あった…これね。……動いたわ!」 「っ……!部長、見てください。これは……。」 ハルに言われてユイも画面を見た。 「これって……皆の名前?……凜だけじゃない……一輝くんと心羽まで……!」 「獅堂と月代は電波2……尾白は圏外……ですか。」 「どういう事……?」 ユイは少し迷ってから、画面を操作した。 ![]() |