世界を変える願い事







ユイに指名されたハルと彼を手伝うからとユイが共に厨房に入ってから10分程が経過して。



『即席の料理ですが。』


そう言いながらハルが大鍋一杯に持ってきたのは、具がたっぷりと入った温かなスープだった。

見るからに美味しそうなスープだ。

即席だとハルは謙遜しているが、これ程の料理を直ぐ様作れるのは並大抵の腕前では無い。

ホカホカと立ち上る湯気に乗って運ばれてきた匂いが、食欲を掻き立てる。

『相変わらずの腕前よねー。』


『まぁ、材料はありましたし……。』


ハルに笑い掛けながらユイが運んできたのは、皿から溢れそうな程に盛り付けられたサラダだ。
丁寧だが中々豪快に野菜が刻まれていて、上から手作りのドレッシングが程好くかけられている。
これまた美味しそうなサラダであった。


『どうぞ召し上がれ!』


ユイにニコニコと満面の笑みで言われ、アリッサ達は料理を口に運ぶ。


『美味しい…!』


スープを一口口にしたシンディが驚いた様に呟いた。


アリッサも……否、スープを口にした全員がそれに同意する。

『空腹は最高の調味料』というのもあるのかも知れないが、それを差し引いたとしてもこのスープはとても美味しい。

正直言って、このレストランで出されていた料理など比べ物にもならない程に、ハルが作ったスープは美味しかった。
食べるだけで元気になれそうなスープだ。



……何故だかやっと一息吐けた気がする……。
こんなにも美味く感じる食事は久しぶりだった。



沁々と食べるアリッサ達とは対照的に、ユイはモッキュモッキュと音がしそうな勢いで食べては直ぐに皿を空にしてから満面の笑みでハルにお代わりを要求していく。


『部長……そんなに急がなくてもまだありますよ。』


そう言いながらもハルは何処と無く嬉しそうにユイの要求通りに従っていた。




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