![]() ★ ( 展開が速すぎるだろう…!) 思わず天を仰いで嘆きたくなったが、そんな事をするよりも今はゾンビの侵入を防ぐ方が先だ。 茫然としているケビン達を尻目に凜はテーブルや椅子を扉や窓の前に積み上げて簡単なバリケードを作っていく。 2つほどバリケードを作り終えた時、漸く凜の意図を察してくれたのか、ケビン達もバリケードを作り始めてくれた。 みるみる内にバリケードが築かれていき、後僅かで完成というその時。 『きゃあっ!』 ゾンビの体当たりによって窓が突き破られ、傍にいたシンディが悲鳴を上げた。 侵入してきたゾンビはシンディに狙いを定め襲い掛かり、押し倒す。 『誰か……助けて…!!』 必死に抵抗しながらシンディは悲鳴を上げた。 ケビンとマークがハンドガンを構えたのが凜の視界の端に見えたが、人間の形をしたゾンビを撃つことに抵抗があるのか、引き金を引けそうにはない。 だから、凜はゾンビに向かって駆け出す。 「その人から離れろ!!」 軽い助走を付けて放たれた凜の狙い済ました蹴りは、見事にゾンビの頭部に突き刺さり腐敗によりやや脆くなっていた頭を砕いた。 腐敗によりぐずぐすになった筋肉と脳の断片、そして砕かれた頭蓋骨の欠片が辺りに飛び散る。 腐った肉を蹴り砕く嫌な感触がしたが、ゾンビを倒せているので良しとしよう。 「大丈夫か?」 ゾンビが完全に動かなくなっているのを素早く確認してから凜は手を差しのべてシンディを起こした。 そしてざっと傷が無いかを確かめる。 ……良かった。押し倒されただけで、シンディに傷は1つもついてはいない。 『た……助けてくれたのよね……? ………ありがとう…。』 シンディは恐らく礼を言っているのだろう。 『Thank you』だけは凜にも辛うじて聞き取れた。 『シンディ!無事か!?』 ケビンが焦ったようにシンディに駆け寄ってくる。 『えぇ。この人が助けてくれたわ。』 シンディの無事を確認してケビンはほっとしたようだ。 しかし凜を信用出来ないのか、険しい顔で凜を見詰めていた。 ![]() |