最悪最高の出会い

青葉城西との練習試合から月島は及川が嫌いになった。
自分の欠点を指摘されたと言うのもあるが、チームに興味がなく、影山のみを見続けていた試合態度が気に入らなかった。
名前だって影山しか知らないと思っていた。ましてや一年の自分など覚えていないと。
しかし、驚くことに彼は月島を覚えていた。そしてなぜか彼らは今、女の子に人気のケーキ屋さんで向かい合って座っている。

「あの、よく俺のこと覚えてましたね。あんた興味がある人以外は覚えなさそうなのに」

月島はお気に入りのショートケーキをつつきながら、笑顔で向かいに座る及川に尋ねた。

「ん?忘れるわけないじゃないか。君は美しいからね。僕の隣にいても劣らない」
「意味がわかりません。あと、何でここにいたんですか?」

及川の答えに嫌悪感を表しながら及川の意図を知ろうと質問を続ける。

「ああ、最初は烏野に行ったんだけど部活がなかったんだよね。君の居場所をチビちゃんに聞いてたんだけど、何かそばかすの子がツッキーは今日はケーキ屋さんに行くって教えてくれたんだ」

君のことだからケーキ屋でも有名店に行くと思ったよ。笑顔で答える及川にイラつきが収まらない月島。

(山口のヤツ、明日殴る)
「それで、僕に何のようですか」
「何も。強いて言うなら君のことが知りたいと思って」

甘党なんて可愛いところが知れて良かったよ。
ミルフィーユをつつきながら及川は更に話し出す。

「ねぇ、僕もツッキーって呼んでも良い?僕のことは徹さんって呼んでよ。仲良くなりたいんだ」
「嫌です。仲良くなんてなる気はありません。あと、僕は甘党じゃないです。ケーキが好きなだけです。今日だって持ち帰りにするつもりだったのに、あんたが話しかけてくるから…」

眉間に皺を寄せながら、ショートケーキを食べ終えた月島は鞄を持ち立ち上がった。

「帰ります」

及川は笑顔のまま

「えぇ、せっかく二人きりで話せる機会なのにもう帰るの?もっと居ようよ!!ケーキ奢るよ?」

と、挙げ句に物で釣ろうとする。

「あんたのそう言う緩い所が嫌いです。僕はあんたに付き合えるほど暇じゃありません」

そう言い放ち、去っていく月島の背中を見送り、及川はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

「君のそういう所が好きなんだよね。苛めたくなる」

明日はどんなことをして君を怒らせようか?
及川は、そんなことを考えながら、日向からゲットした月島のアドレスにメールを送った。

ーーヤッホー!!徹だよ☆今日は、楽しかった!!
また、一緒にお茶しようね(^^)
今度はもっと美味しいケーキを食べさせてあ・げ・る

返信しなかったら、今日こっそり撮った君が微笑んでケーキを食べてる写真、トビオちゃんに送っちゃうぞ☆ーー


こうして、月島と及川の奇妙な交流が始まった。




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