変色

金が銀になる瞬間が嫌だった。

色が変わるだけなら、イメチェンかよ!と突っ込めるが、性格まで変わり、まるで別人だった。
初めてあった銀は、俺の事が分からなかった。
アイツの殺気に俺は密かに震えていた。
殺されるんじゃないかと一瞬思った。
でも、しっかり、金の時の習慣が残っていた。

俺は助けられた。

次に会った時、アイツは俺の名前を呼んだ。
でも俺は嬉しくなかった。
銀は、金とは違う。俺を見下すような視線で俺を呼んだ。

だから俺はアイツが怖くなった。いつ、銀になるか俺には分からないからだ。

俺は、いつもへらへらしてて、優しすぎるアイツが好きなんだ。あんな戦いを好む戦闘狂なんか好きじゃない。

でもアイツの過去を聞いてから、銀を毛嫌いするのは辞めた。銀だって、時々俺のことを優しい目で見てくれると気付いた。

「花礫くん!難しい顔してどうしたの?」

ひょっこり顔を出したアイツは、金色の髪をしていた。

「別に。なんでもねえよ」
「何でもないような顔じゃなかったよ!!もう、もっと頼ってよ。花礫くんは一人じゃないんだよ?」

そう言って笑う與儀の顔を見たら、金でも銀でも別にどうでも良いのだと思えた。


うん。俺は“與儀”が好きだ。



本人には、言ってやらねーけど。


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