ジレンマ
「おいっ、今のトスはドウデシタカ 」
「は、何? なんで片言なの? 」
「うるせー!! どうなんだよ! 」
「………もう少し高くして 」
アイツは菅原さんに言われてからチームを良く見るようになった。
いつも喧嘩ばっかりしてた月島にもちゃんと話すようになったし。コートの中だけだけど。
インターハイ予選中にアイツは大きく変わった。
それは良い事なんだ。チームにとっても、アイツにとっても。
「日向、どうした? 難しい顔して 」
「えっ? お、俺そんな顔してましたか!? 」
「おう。 影山を睨み付けてたべ。 まっ、月島と話してるのはまだ珍しいからな 」
菅原さんって、やっぱりすごい。俺が影山見てることバレてた。
「ふふっ。 まあ、日向の場合は影山が他の人と仲良くするのが嫌なんだろ? 」
「ふぇっ!? ななな、何言って…!? 」
「隠しても無駄だよ。 俺には分かる! だって影山があからさま過ぎるもん。 田中とかが日向を構ってたらすごい睨んでるし 」
「え、ええ? 菅原さん気付いて…? 」
「 付き合ってるんでしょ? 影山と。 俺偏見とかないし。 お前らはお似合いだと思うべ 」
菅原さんは小声で俺らの関係を言い当てた。
嘘だろ? 俺、絶対バレない自信あったのに……
だって、影山普段はそっけないし俺にだけキツクあたるし、性格悪いから友達いないし…
だから俺らがその…つ、付き合ってるとか絶対分からないと思ってた。
たまに、俺だけが好きなんじゃないのかとか思う時もあるくらいなんだぜ?
でも……影山が俺の事見ててくれたってのは嬉しいな。
「菅原さん! この事は… 」
「大丈夫。 誰にも言わないよ。 てか、気付いてるの俺くらいじゃないかな? 後は月島は分かってそうだけど言いふらしたりしないだろうしね 」
「あ、ありがとうございます 」
「いーって。 なんか悩みとかあったら聞くよ? 相談する人居なかっただろう? 」
「はい!! じゃ、じゃあ、その…よろしくお願いします 」
「おー 」
菅原さんってなんて良い人、良い先輩なんだ!!これぞ先輩だ!
なんかこの人の影響で影山がコミュニケーションとろうとし始めたの分かる気がする。
俺も菅原さんみたいに周りを良く見て動けたら良いな。
練習しよう!
「俺、いっぱい周りを見るの練習します!! 」
「 ? うん? まあ、頑張れ? 」
「はい!!!」
「おい! 日向!! ちょっとこっち来い! 」
「あ? 何だよ? 」
菅原さんに練習宣言してたら影山が怒鳴ってきた。
何だよ? まあ、月島ともう話してないから俺を呼んでくれて嬉しいけどさ…絶対言わないけど。
菅原さんの笑顔を背に俺は愛する相棒兼恋人の元へ向かった。
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