読書 ver.カーニヴァル

「花礫くーん!何読んでんの?」
「あ?ちょっとな…」
「ん?何々……へぇ、珍しいね、花礫くんが恋愛小説なんて」
「勝手に見んじゃねーよ」

部屋でのんびりと読書をしていた花礫の元へ、任務を終えた與儀が遊びに来た。
花礫は鬱陶しそうに、眉をひそめはぐらかすが、本の帯の煽り文を見て恋愛小説だと判断し、與儀は驚き騒いだ。

「えねえね、これってけっこう有名だよね?俺、本とかあんまり読まないから知らないんだけど、ツクモちゃんが良いって言ってた!」
「ああ、ツクモから借りた。なんか、結婚生活の予行練習とかすんだぜ、女の方は女々し過ぎないし、男も優しい感じだな。女が好きそうな内容だ」
「あれ?花礫くんは好きじゃないの?」

先程まで、集中して読んでいたため、てっきり面白いかと思っていたのだが、花礫は好きとは言わなかった。

「ん、まーな。ありきたりな気がするからな。こういう関係は良いと思うけどさっ。……お前、結婚生活の予行練習とか俺がしたいって言ったら、どっかで一緒に住んでくれるか?」

花礫は不敵に笑うと本を與儀へ渡して、部屋から出て行った。

「っ///」

残された與儀はニヤケながら顔を赤くした。

手には彼から受け取った本が大事に持たれていた。


(花礫くん、結婚しても良いって思ってるのかな?花礫くんと一緒になれるなら、どんなに厳しくても、二人で住める家探すよ?)

彼なりの『好き』なのだと、実感すると、ますます愛しさが込み上げて来た。







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『100回泣くこと』を少し参考にさせていただきました。

映画化されますね。ちょっと内容変わるけど…。





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