バースデイ

「ねえ、岩ちゃん。今日、何の日かわかる?」
「……元海の日?」
「そうだけど違ーう」
「なんだよ」
「え?分からない??何年一緒に居ると思ってんの??ねぇ、岩ちゃん!!」
「あ〜うるせーな。誕生日だろ!!お前の!!これで良いだろ」



及川から7月20日0時ピッタリに掛かってきた電話で夢の中に入りかけていた岩泉はキレ気味に答えた。



「もうっ。岩ちゃん冷たい!徹泣いちゃう」
「あーはいはい。泣けよ勝手に。てか何時だと思ってんだよ?俺に掛けてこなくても女子からたくさん電話くんだろ?」
「うん。現に今、メールがヤバいくらいに来てるね。でも、一番初めは岩ちゃんに祝われるって決めてるんだ!」
「ふんっ。そーかよ。で?今年は何が欲しいんだ?」


毎年、0時ピッタリに及川から電話が来て、プレゼントの催促をする。これが彼らの中での誕生日の過ごし方になっていた。


「えーじゃあ、岩ちゃんからのキスが欲し「ふざけんな」いな〜」


及川からのふざけた返答に、遮るようにして答えた岩泉は、毎年となっているこの行事にため息を吐いた。


「はあ。今日はお前ん家、泊まってやるよ。これで良いか?」
「ホント!?やった〜!!良いよ!ありがとう」


及川からの無理なお願いを言われ続けるよりも、自分から提案した方が早いと長年の付き合いで学んだ岩泉は、彼が自分と共に居ることを望むと分かっていたため、家に泊まることを提案した。


「ただし、何もしねーからな!!次の日も練習あるんだし」
「うん♪ 分かってるよ〜。楽しみだな〜」
「じゃーな。 誕生日おめでと。  生まれてきてくれてありがとな」
「えっ!? 岩ちゃ…切れちゃった」


岩泉は、電話を切る間際になり始めて祝福の言葉を述べ、普段なら絶対に言わない感謝の言葉も残して、電話を切った。
彼からの急な言葉に、及川は柄にもなく頬を赤らめた。


(岩ちゃんにありがとうって言われたら、頑張って生きなきゃって思うよね)





及川は今日、岩泉に会って顔がにやけないか心配しながら眠りに就いた。






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