花礫くんと!!

艇に戻り花礫は男に触られた所が気持ち悪いから風呂に入りたいと願い出た。

一人は危ないと言うことで、與儀と與儀が変な気を起こさないように无が一緒に入ることになった。

ちなみに、花礫の服は買い終わっていたため、大量にある。

「酷いよツクモちゃん!俺、いくら花礫くんが可愛くても3歳児に手は出さないよ!」
「分からないわ。花礫くん、可愛すぎるもの。无くんが居たら安心」
「花礫、お風呂一緒!俺が体洗ってあげるね」
「おー」

思い思いの事を話しながら、お風呂場に到着した。

「じゃあ、花礫くん。これを着てね」

ツクモから手渡された着替えを持ち、花礫は早々と脱衣場に突入していった。

「无くん。與儀が変なことしようとしたら叫んでね」

いつでも助けに行くからね。
そう言い残し、ツクモは自室へ帰って行った。


服を脱ぎ浴室に入ると、どうやら先客が居たようで、花礫と何やら揉めていた。

「君、どこの子だい?何でここに居るの?」
「だから、花礫だって言ってるだろ!」
「……まさか、平門さんの隠し子!?まさかね。だって、あの人には燭さんが……」
「っおい!!話しを聞け!!」

体を洗いたかったのに、腕を掴まれたまま、別世界に行ってしまっている喰を見上げる。そこに无と與儀がやって来た。

「花礫くーん!大丈夫?溺れてない?あれ?喰くん!!こんな時間にお風呂なの?」
「…………與儀くん」
「なぁに?」
「この子、花礫くんなの?」

與儀の発言に驚き3歳児花礫を見下げる喰。

「あ、そっか!今日は朝から任務だったんだよね!うん。そうだよ!なんか能力者が原因らしいよ」

可愛いでしょ?

與儀の説明でやっと、この花礫が本物だと信じた喰は、改めて花礫を見下ろした。

(確かに可愛らしいね)

喰は、掴んでいた腕を離し、花礫の体を洗い始めた。

「っおい!自分で出来るからやめろ!」
「いいじゃない。腕掴んじゃったお詫びだよ」

何もかも小さいね。と若干バカにしながら洗っていると、无が遠慮がちにやって来た。

「あの、喰くん。あのね、俺…花礫の体洗いたいの」
「そうだ!おい、喰。やめろ!无にしてもらう約束だったんだ」
「そうなの?でもごめんね。もうほとんど洗えちゃった」

前以外は洗い終わっていたため、无が洗える場所がなくなっていた。しかし、无は諦めずに花礫に話しかける。

「花礫!前は俺が洗う!」
「いや、大丈夫だ。これくらい自分で出来る」

いくら无でも前を洗ってもらうのは嫌なので断る花礫だが、喰が无に一言言ったためその願いは叶わなかった。

「无くん。花礫くんは恥ずかしがってるだけだから、勢い良く洗ってあげなよ!」

はい。とさっきまで花礫を洗っていたスポンジを无に渡す。

「なっ!おい、やめろ!!自分で出来るから!!」
「大丈夫!俺がやったげるから」

无は、花礫の前に回り込み、洗い始めた。

「ふにゃっ!?…ちょっやめっ…くすぐった……」
「花礫、気持ちくない?」
「无くん。気持ちいみたいだよ。もっとしてあげて」

予想以上に擽ったがっているため面白くなった喰は、无にもっとするようにけしかける。

「うん!俺、頑張るよ」

ゴシゴシ…

「うぅ〜……っも、やめっ……やぁ」

顔を赤くして抵抗する様は、そんな趣味はなくても喰をドキリとさせた。
(良いね〜花礫くん。可愛いよ)

ニヤニヤ笑って二人のやり取りを見ていると、今まで空気と化していた與儀が動き出した。

「だ、ダメー!!!无ちゃん今すぐ止めたげてー!!花礫くんが泣いちゃうから!」

叫びながら花礫を无から引き離す。

「泣くわけないだろ!」

涙目になりながら與儀を見上げるがその顔では説得力がない。

(可愛すぎる……あ、どうしよう何かドキドキするかも…でも手を出したらツクモちゃんに殺される)

悶々とする與儀に気付き、无は與儀が花礫に手を出しそうなのでツクモを呼ぼうとした。

「ツクモちゃっむぐっ」
「今、アイツを呼ぶんじゃねー。俺なら大丈夫だから。体洗ってくれてサンキュな」

慌てて无を止める花礫。

「花礫くん…俺のために…」

自分を助けるために无を止めたと思い、感激で涙する與儀だが、花礫は冷めた目で與儀を見る。

「何言ってんだ。アイツが来たらその…、裸見られんだろ!」

俺だけじゃないからな!お前らだってそうだろ?

「……僕はツクモちゃんなら大歓迎だけどね」
「黙れ変態!」

喰の問題発言にツッコミながらも、泡を流し湯船に浸かろうとするが、3歳児の体では、湯船が深すぎて一人で入るのは難しかった。それを見て與儀は勢い良く花礫に近づく。

「花礫くん!俺が抱っこしてあげる」

ほら、おいで!!と手を広げるが、花礫は無視して无に頼んだ。

「悪いな、ちょっと湯船に入れてくれ」
「うん!!良いよ!」

ギュー
花礫を抱き締めながら湯船に浸かる姿は、とても可愛らしかった。

(悔しいけど、目の保養になるね)
(あー!花礫くんも无ちゃんも可愛いよー)

「花礫!気持ち良いね」
「ああ、そうだな」

幸せそうな二人を見て、和む喰と與儀。
彼らも湯船に浸かり、体を暖める。


(こういうのもたまには良いな)

无の温もりとお湯の暖かさに心も満たされる気持ちになり、人と入るお風呂も悪くないと感じる花礫であった。









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