休み時間

「そういえば、影山って友達居るの?」

部活の休憩時間、珍しく月島から離れていた山口が、ふと影山に質問した。

「あ?そりゃ居るけど…」
「ホントに!?この前見かけた時は、日向と一緒だったじゃん。俺、日向と一緒の所しか見たことないよ」
「それは、お前もだろ。月島といつも一緒だろ」
「ツッキーは良いの!!それに俺は友達多い方だよ!お前のクラスの山田とか中島とかさ」

自分と月島の事は棚上げし、影山が日向とばかり居る事を怪しむ山口は、本当に影山に友達が居るかどうか確認するため、今度は本日の休み時間、誰と居たかを聞いた。
影山は不機嫌になりながらも、律儀に朝からの事を話し出す。

「朝は、練習終わりだから誰とも話してねえ。次の休みは、日向が辞書借りに来たな。そんで次はスガさんが日向に会いに来てるって聞いて、アイツの教室に行った。で昼休みは日向と屋上で食って、次の休みは授業中から寝てたからそのまま寝てた。そんで放課後だろ?……あーっと、き、今日はたまたま日向と会うことが多かっただけだからな!」
「……」

山口は言葉が出なかった。
自身も月島に依存している気があるのは自覚しているが、ここまで酷くはない。ちゃんと休み時間はお互いの時間として別行動する時もあるし、山口は自分でも言うように友人は多いので、彼らに会いに他クラスへ行くこともある。
影山の話だと、日向としか会話をしていないのではないかと心配になってきた山口は、彼に友達を紹介しようと決心した。

(影山、俺が心の広そうな友達を紹介してあげるね!もう、一人になることはないよ!よしっ、同じクラスだし中島あたり紹介するか…)

山口は少し涙ぐみながら、明日は影山のクラスに遊びに行くと言い、月島の元へ去って行った。




山口が去り、少しすると、西谷と戯れていた日向が影山の元へやって来た。

「影山!どうしたんだ?なんか難しい顔してる…」
「ん?なんか山口が俺に友達が居ないって言ってきた。休み時間誰と居るか聞かれてさ、お前とばっかりだった」
「なっ!?そ、そ、それで?あの…山口にその…言っちゃった?」
「い、い、言えるわけないだろ!今日はたまたまだって言った」
「はあ〜。良かった」

日向は、恥ずかしそうにほんのり頬を染めて、影山に絶対に内緒にするように言ったところで、休憩時間は終了し、また過酷な練習に戻って行った。
残された影山も、少し顔を赤くしていたが主将に呼ばれ、慌てて集合場所へ駆けて行った。



(日向と一緒に居るのは、付き合ってるからだって、言えるわけないだろ!!)





そんな二人の事情も知らずに、山口は明日から"影山友達100人大作戦"を月島と二人で実行しようとしていた。



二人の関係がバレるのはまだまだ先である。





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