暑い日には

「………暑い」

タンクトップにハーフパンツという出立ちで、完全に夏仕様になっている花礫。
しかし、現在貳號艇の彼の部屋はクーラーが故障しており、真夏のように蒸し暑かった。
无は早々にバテてしまい、ツクモの部屋へ避難した。
他の部屋はクーラーが効くのになぜこの部屋に居るかと言うと

「花礫、无。お前たちの部屋の空調が故障した。すまないが、しばらく无はツクモの、花礫は與儀の部屋へ行ってくれないか?」
「花礫くーん!一緒に寝ようねー!!」
「は?他の部屋は?空いてるだろ?」
「残念ながら、他も点検中で空調が使えないんだ。與儀の所が嫌なら俺の所に来るか?……何をされても良いならな」
「!?」
「ダッ、ダメですよ!いくら平門さんでも花礫くんに手を出すのは許せません!!花礫くんは俺のです!」

ドスッ
うっ……

「誰がお前のだ///別にこれくらい我慢できるし。この部屋で良い」

そう言い花礫は與儀に蹴りを食らわし、自室へ帰っていって現在に至る。
平門が居る手前、與儀に甘えることが恥ずかしく思い、咄嗟に断ってしまったが、この蒸し暑さに花礫は少々後悔し始めていた。

(あちぃー。この艇こんなに暑かったのかよ…)

汗だくになりながらも大人しく本を読んでいる花礫の元へ、アイスを持った與儀がやって来た。

「うわっ、何この暑さ!?花礫くん、やっぱり俺の部屋に行こう?」
「うるせー。てか、良いもん持ってんな」

花礫は與儀に悪態を吐きながらも、彼の手に握られている物に注目する。

「あ、これ?花礫くんへの差し入れだよ!一緒に食べよう?」

差し出されたのは、ミルク味の棒アイスだった。
花礫は、たまにはコイツも役に立つなと思いながら、アイスを受け取り口付けた。

「ん…」

ペロペロとアイスを美味しそうに舐める花礫を、與儀はアイスを食べながらじっと眺めた。

花礫は、與儀の視線に気付く暇なく、アイスを長くもたせるために、舐めたりくわえたりと、与えられた涼しさを堪能していた。

(キタキタキター!!これを待ってたんだよ!あー、花礫くん、エロい!美味しそうに舐めちゃって……。もう、無理してクーラー壊した甲斐があったね。平門さんを買収するのは大変だったけど…燭先生の写真で手を打ってくれて良かった〜。命懸けの撮影だったよ…。花礫くんが、俺の所に恥ずかしがって来たがらない事も計算済だよ。上手く行って良かった。生きてて良かった)

そう、クーラーの故障から全て、與儀が仕組んだ事だった。
花礫と恋人ながらも、二人きりになる機会が少なく、最近では体に触れることもさせて貰えなかった為、色々と限界だった與儀は、今回の事を計画した。

そして、蒸し暑くなった部屋でアイスを食べさせ、エロい姿を視姦し、あわよくば薄着になっている彼を襲おうと考えていた。


與儀がこれからの事を考えて、にやけていると、花礫が視線に気付いた。
與儀の熱い視線に気付き、自身の状態から彼が何を考えているか理解した花礫は、一瞬顔を赤く染めるが、ニヤリと笑い與儀へ見せつけるように舐め始めた。

「ふっ…ん…與儀……」
「!?が、花礫くん??ちょっ///」

與儀は、花礫が急に自身を舐めてる時のような声を出し、見つめられながら舐め出したので、顔を赤くして慌てだした。

(え?花礫くん、態とやってる??でも………良い)

花礫を凝視して、動けなくなった與儀。それを見て花礫は、満足そうに笑い、一気にアイスを噛みきった。

ガブリ

「っ!?」

與儀は、自身を舐めてる事を想像していたため、自分のが噛まれた気分になり、急所を押さえ、その場に蹲った。

「はっ。やっぱりエロい事考えてやがったな……なぁ?與儀?」
「うっ……い、痛い…今の絶対痛いよ花礫くん……っ!?痛い痛い痛い!!ふ、踏まないで」

花礫は、蹲った與儀を見下し、手を踏みつけた。

「うるさい!……お前、そんなに溜まってるの?こんな回りくどいことしてさ」
「え?溜まっ////」
「そうなんだろ?俺がアイス舐めるので想像してたんだろ?」
「……はい……」
「ふっ。変態だな」

花礫はしゃがみこみ、蹲る與儀に顔を近付けながら、耳元で囁いた。

「良いぜ……今、汗だくだし、これ以上かいたって同じだろう?気持ちよくしろよ。與儀」
「え?」
「もう黙れ」


妖しく笑った花礫は、與儀にそっとキスをした。



蒸し暑い空間で行われる熱く溶けるような行為は、彼等を一層興奮させるのであった。


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