2.5人だけの秘密

深夜の貳號艇、皆が寝静まった中、なにやら小声で揉めている声がする。

「アイツともしたんだから俺ともしないと不公平じゃね?」
「な、だから今日は無理だって!大体、君は中で見てるんじゃないの?」
「まあね。可愛らしく乱れるお前を堪能させてもらってるぜ」
「っ/////」

だから俺にも味わわせろ。

そう言い、髪が銀色になった與儀は喰に覆い被さった。

「ダ、ダメだってば!」
「うるさい。この前だってお預けだったんだ。やっと出てこれたんだから相手しろよ」

俺の恋人だろ?

與儀と喰は恋人同士である。しかし、それを知る者はいない。壱號艇と貳號艇で普段から会うことがあまりなく、出会った時から與儀とは仲が良かったため、隣に居ることは誰も気にしないくらい自然な事となっていた。
喰が頑なに関係をバラすのを拒んだため、與儀と喰は秘密の恋人同士となった。

しかし、與儀には言えない秘密が喰にはできた。
彼と付き合い出してから暫くして、銀色の方の與儀に会うことがあった。
喰の中では、彼は與儀であって與儀でないという複雑な立場に居たので、自分からは関わらないようにしていた。しかし、銀色は、自分も與儀であるので、喰の恋人であると主張した。
それからだ。喰は、もう一人の恋人ができた。
銀色は普段の與儀の事も知っており、喰と何をしていたかも見ているので、それを自分にもするように喰に強要する。

本日は、與儀と喰が夜の営みを楽しんだ後に、無理矢理出てきて、もう一度同じことをさせようとしている。
喰の体は限界まで與儀に愛されていたので、正直今にも寝てしまいそうだった。

「ねえ。あの…く、口でするから今回はそれで我慢してくれない?」
「えー口も勿論してもらうけどーアイツだけずるいじゃん!俺の方がめったに会えないんだぜ?俺だってお前を鳴かせたい!」

今日はかなり虐められてたよな?気持ち良さそうだったぜ。

「/////」
「てことで。いただきまーす♪」
「へ?ち、ちょっと!!や……やめっ///」

銀髪與儀に押し通され、喰はもう一度ベッドに沈むことになった。


何度も何度も相手をさせられ、意識を失うまで與儀は喰を離さなかった。

(くそっ…。俺だって喰を愛してるんだ…。何で閉じ込められなきゃいけないんだよ)

翌日、喰が目覚めると体は綺麗にされており、隣には金髪與儀がすやすやと眠っていた。

(與儀君は帰ったのか…。僕だって二人とも大切だと思ってるんだからね。もっと話したかったな)

ほとんど自力で出てくることのない彼に思いを馳せながら、もう一人の恋人の頭を優しく撫でた。


「好きだよ……與儀くん達」

與儀が起きるまでもう一眠りしようと喰は與儀に寄り添って眠りに就いた。







***


「あー!!!」
「何?煩いんだけど…」
「喰くん、浮気したでしょ!」
「……は?」
「だって俺は首とか見えそうな所には痕つけないもん!」

ほら、ここ!!

與儀に指で示された場所は、もう一人の與儀が執拗に口付けていた場所だった。

(いや、これもう一人の君が付けた痕だから!僕にとってはどっちも與儀くんには変わらないから、浮気じゃないし!)

自身の中にもう一人の人格があるなど知らない與儀をどうやって納得させようかと頭を悩ます喰だった。





喰くん。……これはお仕置きだね。今晩覚悟しといてね。
っ!?


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