君が産まれた日

最近、與儀が冷たくなった…。
普段はあんなにスキンシップしてくるのに、なんかよそよそしくなったような気がする。

何なんだ?

與儀だけじゃない。
ツクモや无までも最近、よそよそしい。何かを隠しているようだ。

くそっ。何か気分悪いな。

「なあ、アイツら最近、変じゃねーか?……って、お前には分からないか。……何か言えよ」

つんっ

ムカついたから羊に八つ当たりした。
なんか、コイツらも何考えてるかわかんねーんだよな。
あ、触ると柔らかい…

「暴力反対メェー!!與儀たちは、忙しいメェー!いい子にしてるメェー!!」

いつの間にか4匹ぐらいに増えやがって、部屋に押し入れられた。

ちっ。何だよ……羊まで……

ここまでされると、もうどうでも良くなるな。
今日はイライラするから、アイツらのことなんか考えずに寝てやる!
……まだ全然眠くないけど…。



次の日は、羊の頭突きで目が覚めた。

「朝だメェ!起きるメェー!!」
「痛っ!!何だよテメェーふざけんな!!」

めちゃくちゃ痛かったんだけど。コイツらは自分の角の殺傷能力を理解してんのか?

文句を言おうとしたら、部屋のドアが開いて、何故かキイチが入ってきた。

「花礫さん、起きましたか?早く仕度して下さい!今日はキイチの買い物に付き合ってもらいますよ!」

訳の分からないまま、着替えさせられ(何故かキイチセレクトの服)、街へ行くことになった。


「これとこれ、どっちが良いですか?」

無意味に俺に意見を求めてきて、凄くうざいな…。でも、コイツのお陰で街に降りれたからな。
それに、與儀に会わなくて済むし……協力してやるか。

「そっちの方がいいんじゃね?」
「わかりました。これにします」

その後も、入る店毎に俺に意見を求めてきて、俺が選んだ方を買っていく。
コイツは自分の好みってないのか?

なんやかんやと、歩き回って、少し疲れたなと思っていたら、キイチがお茶にしようと言ってカフェに入った。

「どれにしますか?ここのはどれも美味しいですよ!!」

本当に常連なんだろうな…さっきから店員と話したりしてるし。
俺は適当にアイツのおすすめとやらを食べることにした。

運ばれてきたケーキは、とてもうまかった。俺は、あっという間に食べきったぜ。
アイツはニコニコしながら自分の分を食べていた。
あと、ツクモにお土産買ってたな…。

俺も何か與儀に買おうかな……。
俺が冷たいからアイツも離れたのかもしれないし……。
嫌だけど、キイチに相談してみるか?


そんなことを考えているうちに、キイチも食べ終わり、次の店に行くことになった。
何故か、キイチが奢ると言ったから、まあ、良いんじゃね?と思って奢られた。


次に来た店は、雑貨屋だった。
ちょうど良いから與儀の好きそうなものを捜すか。

「花礫さん!何か欲しいものがあるんですか?」
「ん、いや、與儀に何かやろうと思って…」
「え?何で、今日は…いや、何でもありません!分かりました!キイチがお手伝いします!」

そう言って、與儀に合いそうなものを一緒に探した。

「あ、これ良いかも…」
「本当ですね!これにしましょう」


與儀へのプレゼントも買えたし、なんだかんだで楽しい買い物だったな。

キイチにツクモから電話があって、急ぎで帰ることになったのは、ちょっと残念だな。

コイツも結構良いヤツだと言うことが分かった一日だったな。
今度からはもう少し話すようにしてやるか。

「花礫さん!帰りますよ!」
「おう。何か、その…さんきゅうな、いい気分転換になったし」
「なっ/////」

一応、礼とか言ってみる。
そしたらコイツ、顔を真っ赤にしやがった。なんだ?俺まで恥ずかしくなるじゃねーか///

二人とも顔を赤くしながら艇に戻った。


パンッパンッパンッ!!!

「「「花礫(くん)(君)誕生日、おめでとう!!!」」」

艇に着いた瞬間、クラッカーが鳴らされ、與儀とツクモと无が叫びやがった。
ーーん?今、誕生日がどうとか言わなかったか?

「ああ、俺、今日、誕生日か……?」
「花礫くーん!!寂しかったよー!ホントはね、日付が変わる瞬間とかに言いたかったんだけど、準備が間に合わなくて…」

とりあえず、中に入りませんか?

キイチの一言で俺らは場所を移動した。


案内された場所は、綺麗に飾り付けがされていて、豪華な食事がテーブルに並べられていた。

ーーうまそう

「凄いでしょ?飾り付けは、俺と无ちゃんで、料理はツクモちゃんとイヴァ姐さんが作ったんだよ!」

あと、喰くんと平門さんは、買い出しとかをしてくれたんだ!!

嬉しそうに説明する與儀に少し苛ついたけど、最近まともに話してなかったから、ちょっと嬉しいな。ほんのちょっとだけだけどな!!

どうやら、俺の誕生日パーティーを開いてくれたみたいだ。

ツバメたちといた頃もあんまり誕生日って祝わなかったからな……。
まあ、俺が家に帰らなかっただけだけど……。
何か、くすぐったい気持ちになるな。

ニコ

「ありがとな!」
「花礫くん///笑って…////」

何故か、目の前に居た與儀は真っ赤になってたけど、礼言っただけだろ?何でそんなに照れるんだよ…。

それから皆から一人ずつプレゼントを貰った。

ツクモの作った與儀人形はへたれな感じが似てて笑える。
无は、似顔絵か…、額縁買わないとな。

それぞれが個性ある品物をくれて、感謝するぜ。


皆で、笑い、食事を食べ、ケーキを食べて、楽しい誕生日を向かえたと思う。

……ツバメたちも居たら、もっと楽しかったのかな?

俺の誕生日も後2時間を切った頃に、平門がお開きの合図をした。

「じゃあ、そろそろ、お開きにしようか。无も眠そうだしね」
「そうね、平門!喰!後は、大人だけで飲みましょう♪」
「イヴァさん、飲みすぎですよ」

じゃーねーお休みー!!

酔っ払いイヴァが喰を引きずって消えていった。
喰、既に死にそうな顔してるぞ。大丈夫か?

「じゃあ、花礫さん、キイチたちは、ツクモさんの部屋でゆっくりしますので!お休みなさい」

キイチ、ツクモ、无が仲良く部屋へ去っていった。

残ったのは……

「花礫くーん♪俺の部屋に行こう?ここからは恋人だけの時間だよ」
「うぜぇ」

そう言いながらも、與儀に着いていっちゃうんだよな。

部屋に入るとすぐに抱き締められた。

「花礫くん。本当に生まれてきてくれて、ありがとう」


なんだよ……最近、よそよそしかったのって、俺にパーティーのことを話さないようにするためだったんだよな。

「與儀に、冷たくされて、嫌われたかと思った……。今日、キイチと街に行って、その、お前の事も少し聞いてもらってさ、そんで、なにか、お前と一緒のものが欲しいと思って………これ……」

キイチと二人で選んだもの、それは、ネックレスだった。
なんか、普段から付けれるのが良いと思ったんだよな…。

「え?俺に?誕生日なのは、花礫くんなのに…。でも、嬉しい!!花礫くんとお揃いなの??」

與儀は思った以上に喜んでくれた。早速付けてるし。

「じゃあ、花礫くんにもっとお返ししなくちゃね!」
「は?お返し?要らねーよ。プレゼント貰ったし」
「いや、俺がよろこばせてあげる♪」

プレゼントは、オ・レ☆

そう言ってアイツはベッドに押し倒してきた。

「っ///」
「残り少ない誕生日を愉しもうよ」


そう言ってキスしてきた。
……今日は誕生日だからな。たまには素直になってやるか。



俺は、與儀を抱き締め返して、キスを深くしてやった///

「與儀、好き///」
「!?ーーっえ?花礫くん?」

自分にプレゼントだ。今日はとことん、甘えてやるぜ。





End





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