王様の憂鬱

「好きだ」
「お、俺も好き///」

2週間前、晴れて恋人同士になった影山と日向だが、二人の関係は今までとなんら変わりはなかった。

(毎日バレーして、アイツと競いあっての繰り返しだ。それは楽しいからいいけど、もっとこう恋人らしくキ、キスしたりだとかしたいんだけどな…)

いざそういう雰囲気になれば、緊張してついキツい言葉を言ってしまう影山は、自分の性格を生まれて初めて嫌だと感じた。

(アイツは何も思わないのか?)

思っていることを行動に移す難しさを実感した影山である。

そんな悩める毎日を過ごしたある日に、チャンスがやって来た。
本日は三年生が進路ガイダンスで遅れるため、自主練のような感じで部活が始まった。
影山は日向とペアになりレシーブの練習などをしていた。その時、日向が不注意で顔面にボールを受けてしまった。普段から顔に当たることもあるため、本人や周りはいつもの事だと気にしなかったが、ポタッと日向の鼻から血が出たため、影山は保健室に連れていくことになった。

「悪い。強く打ち過ぎたな」
「いや、俺が取り損ねたからだって。気にすんな!」

保健室は、保険医が外出中だったので、氷などを勝手に拝借し治療をした。

「サンキュー。お前って器用だよな。俺だったら先生が居なかったら全力で探しにいくのに…」
「用事で居ないんだから例え保険医を見つけても治療してもらうのに時間が掛かるだろ?なら、自分でやった方が早い」

ふと、影山は日向を見た。
二人だけの保健室。本日の練習は、三年生が合流するまで始まらない。

(時間はある。するなら今だよな)

「日向」

クイッと血が止まったばかりの日向の顔を上向かせる。

「え…影山?」
「なぁ、俺たち付き合ってるよな?」
「うん///」
「あの、その……あー邪魔くせえ!!」

ちゅっ

「ん!?」

言葉に表せなかった影山は、強行突破して、日向に軽いキスをした。
驚いた日向だが、状況を把握すると、そっと目を閉じてキスを受け入れた。
これに気を良くした影山は、深く口づけた。

「ん……ぅあ!?ん、ん…」
「ん、日向……」

いきなり舌が入ってきて驚く日向だが、段々気持ち良くなってきてとろんとした顔になった。

(う。可愛い…。ここまでで、止まれるか俺?)

日向の変化を見て理性を失いかけた影山だが、この後に大好きなバレーがあるため、なんとか理性を抑え、口を離した。

「はぁ、はぁ」
「悪い。急にして……」

肩で息をする日向を見ていきなりはまずかったかと謝る影山だが、日向はキッと彼を睨んで言い放った。

「なんで謝るんだよ!!俺とキスすることは悪いことなのかよ?」
「いや、そんなことはないけど、初めてでディープしたから……その…」
「お、俺だって男なんだ!それくらい気にしないし、付き合ってんのに手を出して来ないから不安だったんだぞ」

お前にキスされて嬉しかったんだからな!!

涙目になって主張する日向に、自分だけが悩んでいたのではないのだと知り、もっと早く行動しとけば良かったと思う影山だった。

「……分かった。今度からは容赦しないからな。俺がしたい時にするから。もちろんこの先もな」

ニヤリと笑い、いつもの調子を取り戻した影山に焦る日向。

「え?その先って////」






こうして、初々しいカップルは次のステップに進むことが出来ました。

その先に進むのもそう遠くないだろう。


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