門六+静臨
臨也が親離れ出来ない話(←)










ピンポーン、


「おーい、京平いるかー?」


ガチャ、


「きょうへ」
「ドタチンはいないよ、帰って」


バタン、


………あれ?
午前も11時を回ったとこ、少しだけ東京方面に用事があって次いでだから京平んとこ寄って行こうかと考えた俺はバイクを飛ばして京平ん家に来たんだが、…あれー。
出て来たのは知らない黒を貴重としたイメージの人物で、ちらりと見えた顔は仏頂面だったが男の癖に眉目秀麗と言う言葉がよく似合う奴だった。いやいやいやいや、そーじゃなくてよ。

え?うそ、ちょ…え?
まさか京平の男…!?
いや、京平は男だけど…あれ、え、俺達って付き合ってなかったのか?乗り換えられた?マジ?


そんなことを茫然自失の状況で突っ立ちながら考えていれば閉まったばかりのドアが音を立てて開いた。


「あ、良かった…まだいたか。悪い、臨也が嘘言っちまって」

「…京平、」

「千景?」

「き、京平ぃいいいい」

「おわっ」

出て来たのは京平自身で、困った様に眉を下げながら"嘘"と鼓膜に聞き付ければ一瞬で肩の荷が落ちたように力が抜け思わず抱き着く。
あー良かった良かった、違うんだな、違うんだよな。もう柄にもなく落ち込んだじゃねーか。暑い、暑いけどまあいいや。

だけど、僅かに視界に映った室内にいる先程の人物が殴られでもしたのか頭を両手で押さえながら赤茶の瞳でこちらを睨みつけてることに俺はびくりと肩を揺らした。


――き、嫌われてる、?











「俺さ、ハッキリ言って」

あれから部屋ん中通されて、冷房が涼しいなと感じてたら中にいたのは静雄と京平の高校時代からの友人らしい折原臨也という先刻の人物。
俺を視界に入れるなり折原はあからさまに顔を顰てフンッ、と鼻を鳴らしてそっぽを向かれた。よく分からない。

それで今は俺の目の前に折原は立っていて凄く気に食わなさそうに睨んでいる。頭の中で何故嫌われてるのか睨まれてるのかよく理解出来てないで首を傾げれば、斜め前にいた静雄が呆れた様に溜め息をついていた。因みに京平は困った様子で。


「年下嫌いなんだよね!」

言い放たれた言葉にキョトンとする。ああ、京平と同い年なら俺は折原より年下になるけどさ。明らかに違う理由が入ってるような…と思考してたらすかさず京平が折原の頭を軽く叩いた。


「嘘をつくな、嘘を!」
「あだっ…酷いドタチン!俺は理解出来てないこのガキに身の程を」
「ガキはお前だ!」
「あだだだだっ!シーズちゃーん」
「はあ…俺を巻き込まないでくれ」
「……?」

静雄は関わりたくない面持ちで何度目かの溜め息をつき、京平に頭の両側を拳でぐりぐりとされてる折原を横目で見ていて、話について行けない俺は視線をさ迷わせていたら、そんな静雄と目が合った。

そして手招きされる。


「静雄…?」
「悪いな、臨也が。悪気は…ねえんだと思う」
「そう、なのか?」
「何つーかなあ、ほらアレだ」
「アレ?どれ?」
「親離れが出来ない、ただの子供だと思え」

子供、確かに小突かれてる姿を見れば親とじゃれあう子供に見えないでもない。


「ほら、千景に謝れ」
「やだー俺悪いことしてないもん!」
「はあ…してんだろ」
「認めない!認めないからね!」
「なにを、だ」

………いや、見える。
ぼんやりと眺めてたら折原と目が合って再びキッと睨みつけられた。詰まるとこ俺は親を奪い取ろうとしてる邪魔物にしか見えないってこった。…なんだかなぁ。


「…もういい、行くぞ千景」
「へ?あ、ああ」

睨む折原に苦笑してたら京平が片手を顔に宛てがって立ち上がる。視線を向けたら腕を引っ張られ若干体制を崩しつつ俺も立ち上がった。


「ドタチン!」
「…静雄、すまねえが戸締まり宜しくな。後、臨也も宜しく」
「ん…ああ、悪いな色々」
「お互い様だろ、それじゃ」
「わわっじゃーな!静雄!」

半場引きずられる形で外へと向かう。玄関を出る際に再三折原に視線を向けたら俄かに泣きそうな顔をしてて、それを静雄が宥めるように頭を撫でてた。
ああ、あっちもそんな関係なのかと思いながら申し訳なくなり、それと少しだけ――の感情が芽生え玄関のドアが閉まる前に俺は眉を下げた。














「…どっか行きてえとこあるか?」
「んー別にどこでもいいよ」

人通りがある路上を京平の隣を歩きながら空を見上げてたら、そう言えばバイク置いてきちまったと現状どうでもいいことを考える。

あー…、もやもやする。

理由不明の靄が心を覆って意識が削がれそうになる、そしたらいつの間にか京平がこっちをまじまじと見てた。


「なんか、今日は元気がねえな?」
「ふぇ?そ、そうか?俺はいたって元気のつもりだったんだ、けど」
「臨也のこと気にしてんのか?」

…京平はエスパーか。確かに気にしてないと言ったら嘘になる。なんか俺が来たことで邪魔しちまったぽいし…昔の友人との楽しい時間。
そう考えるとやっぱり柄に合わなく胸がツキリとする。当たり前と言えば当たり前だ。俺と京平は歳も違うし、住んでる県も違うんだから俺の知らないことがあって当然だ。だけど、


「…気にしてない、けど…」
「けど、?」
「なんか…さー寂しかった」
「…千景?」
「京平のことで知らないことあるのってやっぱ当たり前なんだけど。…少なくともあの空間楽しそうに見えて…ああ、俺って邪魔なのかなって考えたら寂しかった」

なに言ってんだ自分、と思うけどなんか口から漏れてた。折原って奴が子供っぽかったけど俺も大概子供だと自嘲する。こんなこと言ったって困らせるだけだと理解してるけど、

―――そしたら不意に京平の手が伸びてきて次の瞬間にぱふっと腕に抱きしめられた。


「き、きき京平!?」
「あのなぁー…言っとくが、」



「俺はお前といる時も楽しいんだよ、それにアイツらとは違う意味で大切に思ってるんだ。だから寂しいとか言うな」


頭上から囁かれる言葉に、路上とか、人前とか、気にすることが出来ずに顔が真っ赤になる。まるでフリーズしたように頭ん中が真っ白になって恥ずかしさからか何なのか口をぱくぱくと開閉させた。

普段は絶対絶対100%こんなこと言わねえのに、不意打ち過ぎてどうしていいか分からない。

だけど、
だけど、取り敢えずは!






「きょ、きき京平のおおっさん!!」



……あ、間違えた。




(きゃー!見てよゆまっち!ろっちーとドタチンがボーイズでラブってるわ!!写メ撮らなきゃ!)
(いやいやいやいや!!あれはただ門田さんが六条君にホールド決めてるしか見えないっすから!明らかに頭ぐりぐりされてるっすから)
(暴力イコール愛情表現なのよ!)
(……静かにしてくれ)







ちー君可愛いよ、ちー君。
あのあと臨也は静雄に宥められて静臨でラブりながらどうちー君とドタチンを離すか画策を練ってたと思u

最後のは狩沢、遊馬崎、渡草です。おっさんと言われてちょび怒ったドタチンが拳でちー君の頭をぐりぐりしてる光景。最後、男前と言いたかったが緊張したせいか思い切り言い間違えたちー君。

(想定外だ)
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