臨也と出会ったのは中学生の頃、二年になるにつれ変わる教室や、クラスメイト達の中に正に眉目秀麗を形作った風貌の少年を見つけたのが始まり。存在だけは一年の頃より聞き知っていた。
艶やかな黒髪や特有の赤黒い瞳は見る者を魅了する様で女子生徒達にも黙っていればモテる対象になったかも知れない。だけど其れが無かったのは彼の行動や言動だった。まるで全ての中心にいてなのに普段は蚊帳の外の様にただただ観察をする、問題も色々起こしてたみたいで、風貌だけでも人目につく彼だったが嫌な噂が流れた瞬間、存在は直ぐに学校中へと知れ渡った。

そんな彼と二人きりで見(まみ)えたのは二年になり既に二学期へと移り変わり、風邪で保健室へと出向いた時、静かなソコに居たのは臨也本人で、また喧嘩でもしたのか手首がスッパリと切れていて血が滲み出ている。そんな彼に見とれそうになるのを感じながら僕はほんの好奇心から彼へと近付いた。治療するという名目で彼の色白い肌へと触れる。

――どうして、そこまでして、


インドア派な私が始めての行動、静雄の時の異常過ぎる身体能力を知りたいと思う心とは違った。

――なぜここまで、彼が歪んだのか

知的好奇心、と言ったところ。
色白い肌に映えた白い包帯を見て、
表情を歪ませた。



――だが知れば知る程に、胸の中で芽生える感情に僕は心を閉ざした。有り得ない有り得ないと目をつぶって、彼には作りきった笑みを向けた。



(でも、臨也は勘がいい奴だから)

そして三年へと学年が上がる時期、事件は起こった。

“傷害事件”

なぜ、臨也が自分を刺したのか、なぜ、自分の意識が遠退くのか、なぜ…――臨也は泣きそうな顔をしているのか、全く分からなかった。

分かろうと思わなかった。
分からなければ、またこの関係が続くのだと、俺は甘えたんだ、






それから地域や成り行きからして、僕と臨也は来神高校へと入学する。再び出会った静雄は相変わらずで、日常も変わらず過ぎた。
―そして俺は静雄と臨也を出会わせる



通常の人では成り得ない喧嘩をする二人を遠くから見る日常は退屈を思わせることもなくて、中学の頃の事件は僕の中から消えうせていた。
気付いて、しまうまで。

始めて自分の勘が鋭い事を呪ったのはこれが最初で最後だと思う。
静雄が臨也を見る瞳に、

ああ、そうか






―――静雄は臨也が好きなんだ


胸が、冷めた、気がした、




(だって僕は彼が、)


「…これじゃあ私は静雄に殺される、かな」

「………ごめん、」

肩を震わす彼の額を撫でて、未だ謝罪する唇を自分のものと重ねる、

打ち付ける雨が、異様に痛かった。







この連載、時期感覚を見るのが面倒ですね…すみません…

(09)
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