僕は折原臨也が嫌いだ、


理由なんてないし

一応友人であるから

付き合いはちゃんとするし

怪我の治療もちゃんとする

ただ、心中

嫌いで
嫌いで

仕方ないのだ



そんな臨也は学生時代が終わると同時期にもう一人の友人である平和島静雄と付き合い始めた。知人の間では公な事実。それからは俺のところに怪我を負ってくることは減った。

――丁度いい、そう思った。

なぜならば冒頭でも述べた通り、私は臨也を好きじゃない。友人としての付き合いは最低限はするつもりだが正直厄介事に巻き込まれたくないし、嫌いである人物と顔を向き合わせ笑顔で接するのは精神を大幅に使う。だから都合がいい。

――そうだったのに





夏に入って生暖かい風が肌に纏わり付くある日の夜だった。
普段ヘマなんて絶対にせず、陰から全てを操る活殺自在の臨也が重症を負って僕のところに急患で運ばれてきた。
最近怪我なんて微塵もなかった臨也が今は頭から血を流し、殴られたのだろうか、頬を腫らし、露出されていない身体にも無残な傷痕が破れた服の間から見え隠れする地肌に見て取れて、絶句、その一言。
現場を見てきたセルティも絶句、そんな感じだった。

(元を辿れば自業自得だけど)


そんな彼をテキパキと治療して自宅にある患者様のベッドへと寝かせる。来た時から気絶をしていたから言葉は一切交わしていない。そもそも顔を見るのも久しぶりだ。
だが久しぶりに見た彼の表情は前見た時よりも窶れてる様に感じて、気になったが干渉はしないと心に決めて僕は部屋を後にした。





『新羅、静雄と連絡が取れないんだ』

PDAを片手にセルティが話し掛けて来た時はまさか、と半笑いになる。こういう時は真っ先に来る奴なのに。
あれから5時間、静雄がくる様子はない。連絡も取れない。

私は携帯を取り出して静雄の番号を打ち込み耳に押し付ける。




『ツーツー…』

鳴り響いたのは呼び出し音ではなく、電源が入ってないただの電子音だった。


――意味が分からない





(どうしようもなくイライラした)



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