Short Story


Cindy's first job

 
 

「今宵お客様たちと共に過ごせること、シンディの宝物です。
 是非うちのマスターお手製のカクテルを手にしながら シンディのマジックショー、楽しんでいってくださいね!
 もちろん、当店自慢の料理を堪能するのも忘れずに♥」


さらにパチンと指を鳴らせば、シェフたちお手製の宴会料理~15周年特別ver~が次々と顔を出す。彩豊かに飾られたキラキラと輝くそれはもはや芸術作品だ。これはいつも店に来てくれる常連客へマスターやスタッフ達からの恩返し、そして看板娘エルムからレット・バトラーへのサプライズプレゼントだ。突如目の前に現れた美しい料理やお酒に皆が気を取られている中、誰にも気付かれることなくそれらを各テーブルに届けた金髪少女にウィンクをすると、喜ぶ客や驚くマスターを見て彼女は嬉しそうに笑った。


これは店に着く前の下山中、えるりんとした会話。

「え?ごめん?…ああ、ハイドランドとして店の創業祭に参加出来ないこと?いや今更なに遠慮してんのwww
 そりゃ、看板娘ちゃんのスペシャルダンスショーを拝めないのはちょっち残念だったけど?いいんだよ。そんなん後日、いくらでも挨拶できるしね」

まあ会話っつっても、音声を書き起こせば
ずっと俺一人が喋ってるんだけど。

「だーかーらー、気にしなくていーの!むしろ嬉しいんだかんね!えるりんが素直に俺を頼ってくれてさ。
 それより、一番悔しいのはえるりんだろ?きっと誰よりも、声に出して届けたかったよなぁ」

どうすれば彼女の気持ちを形に出来るのか。
それを考えた末に思い付いた答え。

「……あ、そうだ。
 だったらさ、ちょっと協力してくれる?」

体調不良の彼女にやらせるのは不本意だったが、彼女の身のこなしならハンデにすらならなかったらしい。元々カクテルの配達だけを頼んだのに、料理も追加したのは彼女たってのご希望だ。俺の予想を遥かに上回り、満点以上の働きをしてくれた。そんなら次は俺の番。いつも楽しませてくれるあんたらへの出血大サービスだ。見逃し厳禁、目ぇ離さないでくれよ?


「It's Showtime!!」




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テーマ「人外ファンタジー」
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