雷蔵と一緒に逃げる女の子の話
パロ
戦闘中の雷蔵さんは怖い。
戦闘中の彼のことをひそかに雷蔵様と呼んでいる。笑みを浮かべながらショットガンで化け物を撃っていく雷蔵さんは普段の穏和な様子とギャップがありすぎて怖い。
「弾!」
自分が持っている弾のストックが無くなったらしい雷蔵さんは後ろにいる私に弾を要求する。その間も雷蔵さんはこちらに迫る敵をハンドガンで撃ち怯んだところを蹴り飛ばしている。
「は、はい」
ポーチに入っている弾薬を取り出して渡した。ありがとうとお礼を言ってくれた雷蔵さんは優しい声色で少し安心した。
***
「大丈夫?」
一通り倒した後、辺りに敵の気配がなくなった。銃をしまった雷蔵さんが私をジロジロ見る。何回も行っている怪我をしていないかの確認だけど恥ずかしい。それに隠れてる私より戦っている雷蔵さんの方が怪我をしやすいから見る必要はないんじゃないかなと思ってしまう。
「大丈夫です。私より雷蔵さんの方が怪我してますよ。頬のところとか」
頬の部分に赤い線が滲んでいる。
「本当だ。…掠ったかな」
次はこんなヘマしないようにしなきゃね。悔しげに呟く雷蔵さん。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。かすり傷だからそれより次の奴らが来る前に早く逃げようか」
柔らかい笑顔と共に差し出された手を取った。