小説 | ナノ

2〜彼女のバヤイ〜

「富松」

部屋を出て声を頼りに富松の所に行けば運動場だった。

声をかけると富松がこっちを見る。ちょっと機嫌が悪いように見えるのは気のせいではない。

「何か用か?」

「また神崎達探してるんでしょ?手伝うよ」

嫌そうに突き放した態度で尋ねる富松に私は答える。

「苗字には関係ないだろ」

「神崎達が見つからないと富松の叫び声がずっと聞こえるの」

売り言葉に買い言葉。

素直になれない私も悪いのだろうけど昔はこんな感じではなかった。何処かの忍たまの先輩達みたいないがみ合って喧嘩するとまではいかないけれど冷めた関係だ。

「…悪い助かる」

一人で探すより人数が増えた方が効率が上がると判断したんだろう。

「…どういたしまして」

何で素っ気ない態度しかとれないのだろ…私の馬鹿。

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