小説 | ナノ

ばれんたいん


「ほらチョコやるよ」

「ありがとう食満くん」

凝り性の食満がラッピングした箱を名前は受け取った。
名前は料理全般が苦手で、反対に食満は料理全般が得意だ。なので、毎年バレンタインの時期になると食満が名前のためにチョコを作ってプレゼントするのだ。

「食満君のチョコ毎年すごいし美味しいし楽しみなんだよね! 今年は何作ったの?」

「今聞いたら開けた時の楽しみが半減するだろ?だから開けてからのお楽しみな」

「はーい。じゃあ開けるまで楽しみにしてるね」

ここは電車内なので、開けてしまうことが出来ない。名前は貰ったチョコを大事そうにカバンの中に入れる。名前の表情はすごく嬉しそうで、見ている食満も嬉しくなった。

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