小説 | ナノ

ゴールデンウィークの話


明日からゴールデンウイークだ。俺としては名前とどっか出かければいいなとひそかに思ってるわけで。

「名前はゴールデンウイーク予定あるのか?」

最後のコマの授業がたまたま同じ科目で授業が終わってすぐ帰ろうとする名前を呼び止めて聞いてみることにした。
一応付き合ってるわけだから帰る前に俺に一言くれたらいいのにと少しは思うがそれが名前クオリティだ仕方ないって諦めることにしている……ちょっとだけ寂しいけどな!

「……あるといえばあるが」

「一日ゲーム漬け以外でな。ってか徹夜ゲームはやめろよ体に悪いからな」

「ゲームをして何が悪い。一日は睡眠で潰すから問題ないだろ」

「問題大有りだ!」

否定しないってことは実行する気だったのだろう。けど名前は寮生活だから寮では徹夜とかしないし実家に帰るか俺の家に泊まりに来る予定だったのか?泊まりに来るのは嬉しいな。新学期始まってから慌ただしくて泊まりとかなかったしな…ってダメだ話題がそれている。

「ゲームのことはとりあえず置いてそれに以外の予定ってあるのか?」

「……出かける約束がある」

「誰とだ?」

名前が言った名前の人物は俺の知っている人物だった。食満先輩の彼女だ。

「あの人か!けど食満先輩なしでって珍しいな」

その人は食満先輩の彼女であり名前と同じくらいゲーム好きな人だ。別の大学に行っている人だが、食満先輩経由で知り合ってよく遊びに行ったりしてるらしい。

「食満先輩がいるとリア充すぎて私がつらい」

そう言う名前の顔は真剣だった。彼女らしいと言えば彼女らしいが……。

「出かける約束以外は他に予定はないんだよな?」

「無いならなんだ」

「どっか遊びに行こうぜ!」

「……」

「悩むなよ!俺だってたまには外で名前と遊びたい!あの人とだけ遊んで俺はダメってのは無しな。ずるぃ」


眉を潜めた名前に慌てて言葉を並べれば名前はため息をついた。

「例えば?」

「えーっと映画とか?ほらこの間CM見て名前が見たがってたアクション映画公開中だろ?それ見に行くとか!」

遊園地とか人混みとカップルが行きそうな場所を挙げればすぐに却下されそうだったから言わないで無難だけどデートっぽい所を言ってみる。

「……行ってもいい」

俺から視線をそらして小さく呟いた名前に俺は心の中でガッツポーズする。実際にガッツポーズなんかやって名前の機嫌を損ねたりするのはもったいない。

「じゃあ今から俺ん家で予定決めような!……泊まりに来てくれる気だったんだよな?」

「竹谷のくせに生意気言うな」

「痛っ」

……結局名前から殴られてしまった。



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