小説 | ナノ

14〜彼女のバヤイ〜


富松に背負われて学園帰ることになった。背負われた最初は何とも思わなかったけど学園へ近づいて行くほどに段々羞恥心が膨らんできた。皆に見られたら恥ずかしさのあまりにどうにかなってしまいそう。無理だ耐えられない。数分前の自分に問いかけたい。なんで肩を貸してもらうにしなかったのか。

「あの富松大丈夫だから降ろして欲しいな」

「駄目だ」

お願いしても富松は駄目としか答えてくれない。ちなみにこれで五回目くらいの交渉である。

「降ろした所でまだ自分じゃ上手く歩けないだろ。大人しくしとけ」

富松の言い分は正論だ。痺れは殆どとれているけど、きっと自分で歩いたらきっとふらついてバランスを崩してしまう。

「だって…」

「俺に背負われるのがそんなに嫌か?」

寂しそうなの声に悪いことをしてしまっている気分になってしまう。

「そんなことは…ない…けど」

「なら黙って背負われろ」

富松はそう言ってまた進む。



あれ?丸め込まれてる気がするんだけど…?

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