小説 | ナノ

転生したら性別が違ってました

転生で女→男になった男主
苦手な方はご注意





いきなりだが俺、苗字名前には前世の記憶がある。

あやふやな部分もあるが前世の俺は約五百年前に忍術学園って所で忍者になるために頑張っていた。

同じように忍者を目指していた仲間と笑ったり泣いたり一緒に過ごしていた。昔の俺はくのいちを目指していたくのたま、女で今と全く違う名前と容姿だった。

一人称が俺であるように今の俺は男だ。前世の記憶を思い出した最初は戸惑いはしたけど昔の俺は俺、今の俺は俺とある程度割り切った…はずだった。

「おはよー名前」

朝教室に入ろうと思ったら背中に重み。

「喜三太重い乗るな」

「えー」

「えーじゃない離せ!」

毎度毎度抱き着きやがって重いんだよ!

俺に抱き着いているのは同じクラスの喜三太。

「喜三太、名前邪魔だよ」

「そうだよ入口で何いちゃついてるんだよ」

「いちゃついてねぇ!俺は被害者!」

冷めた目でこっちを見る兵太夫とニコニコと笑っている三治郎に抗議する。

俺も邪魔物だと見るわ相変わらず喜三太は離れてくれない。

誰か助けてくれと思っていたら開けようとして開けれなかったドアが開いた。

「おはよう名前、喜三太、兵太夫、三治郎」

開けたのは我がクラスの学級委員長庄左ヱ門。

「庄ちゃんおはよー」

「おはよう庄ちゃん」

「おはよう」

俺以外の三人が挨拶する。庄左ヱ門挨拶するところか。相変わらず冷静ね。早く助けろ。

「喜三太、名前から離れてあげて入口だと邪魔になるよ」

「はーい」

良い子に返事した喜三太が俺から離れる。やっと解放された。

「ほら解放されたんだから早く中入れ」

「ちょ押すな兵太夫」

兵太夫から背中を押され転びそうになりながら教室に入る。

教室にはもうそろそろ予鈴が鳴るので人が大分いる。この学校は男子部と女子部に別れているからここにいるのは男ばっかりだ。

俺が所属している一年三組には前世で見覚えのある奴らがいる。喜三太や兵太夫や三治郎、庄左ヱ門も前世で会った事がある。彼等は忍術学園にいた時代に忍者を目指していた忍たま達でトラブルメーカーで有名なは組だった。そして前世の俺はこいつらに嫌というほどいじられた。

今もいじられているがあの頃よりはまだマシだ。女より男の今の方がマシというのも複雑な気分だが…そこは時代の違いと。

こいつらも前の記憶があるらしい。確証はないのはそれらしい会話を聞いた事があるだけだからだ。もし本当に前の記憶を持っていて俺を前の俺として認識したら現状があの頃と同じくらいに悪化するかもしれない。それだけがばれたくない。

「…疲れた」

自分の席に座って机に突っ伏せる。

「名前朝から大変だな」

横を向けば隣の席の金吾が憐れみの眼差しで見てくる。

「喜三太は寮でお前の同室なんだからどうにかしろよ」

「俺が注意してどうにかなるなら苦労しない」

「だよな。悪い」

マイペースで人が文句言っても八割聞き入れてくれない喜三太だ。金吾が遠い目になってしまったので思わず謝る。

「あー名前が金吾虐めてる」

「それはいけねぇな」

「ぐえっ」

背中をバシバシ二回叩かれる。地味に痛い。

「いじめてないし痛ぇよ団蔵!虎若!」

いつの間にか後ろにいた団蔵と虎若に叫ぶ。

「いじめてるのはお前らだろ」

突っ込んでくれたのは伊助。俺の味方してくれるのはお前だけだ…!

「母ちゃんが名前の味方してる!」

「母ちゃん贔屓は駄目だから!」

「誰が母ちゃんだ誰が!」

母ちゃんと呼ばれた伊助がキレかけた所で予鈴が鳴った。

するとさっきの騒ぎが収まって団蔵達も席に戻る。

「あれ」

誰か足りないような気がする…あ。

「なあ乱太郎達は?」

「俺達が行くときにまだ食堂にいたぞ」

団蔵が答える。

「また遅刻か」

食堂ということはしんべヱがまだ朝飯をおかわりしまくってるだろうから遅刻確定だ。一時間目は確か土井先生の授業…また先生が胃痛で悩むのかと俺は心の中で合掌した。



end

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