小説 | ナノ

口は災いのもと


「さっちゃん大嫌い…!」

「……」

「……さっちゃん?」

「…」

今日はエイプリルフールって事で嘘をついてみたんだけどさっちゃんは黙ったままだ。

さっちゃん本気にしちゃった?私さっちゃんの事だよ!今度引っ越すとかの方がよかったのかな。大嫌いとか言っちゃったけど言うのに躊躇ったし言った後もグサッてなった…やっぱり言わなかったらよかった。

さっちゃんを傷付けたかもしれない。

「…ごめんなさい」

ボロボロと涙が溢れる。

「さっちゃんごめんなさい嘘だよ」

「そうか、今日はエイプリルフールか」

「…うん」

「死んでしまうかもしれないくらいびっくりしたぞ」

ホッとした表情のさっちゃんが言いながら私の涙を拭う。

「本…当にごめ…んなさい」


「名前が泣いてどうする」

慰めてくれるさっちゃんが優しくてますます涙は止まらない。

「っ…さっちゃん大好き、大好きだよ…っ!」

「僕も大好きだ!嘘でも悲しいから次は別の嘘がいいぞ」

「うん!」

嘘でも二度と嫌いとは言わないよ。

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